Night of the Butlers

それは突然現れた。

いつも通りに仕事を終わらせて、帰ろうとした俺の前に───





「!」



誰かの殺気を感じた。
すぐ避けたものの、頬を何かがかすめた。かぶっていたはずのフードも少し切られた。
あと一歩、逃げ遅れていたら、間違いなく当たっていた。危なかった。だけど、一体、誰が?

その時。



「……あーあ。ちゃんと狙ったのに、避けられちゃった。さっすがー」



誰かの声がした。仲間のものじゃない。知らない人間の声。辺りを見渡し、警戒を強める。





「ここだよ」



振り返ると、俺と同じような格好した人物が少し離れた場所で立っていた。しかし、黒いフードを羽織っている俺と反対に相手は真っ白いフードを羽織っていた。ズボンも靴も全部白。この闇の中では目立つ。すべて黒を身に纏っている俺と正反対だった。こんな夜に白を着るなんて普通ならありえない。よほど自信があるのか、バカなのかのどちらかだ。





「君は誰だ?」

「知りたい?Scorpio……ううん。アガット」

「……っ!?」



俺の名前を知ってる!?

俺はすばやく武器を手に取り構えながら、相手を見た。相手は頭からフードをかぶっており、顔がよく見えない。





「遊んでくれるんだ?いいよ。一緒に遊ぼう」



相手が笑いながら、武器を構えた。





「きみを倒せば、アメジストは褒めてくれる。いい子だって、一番強いのは僕だって褒めてくれるはずなんだ」

「旦那様を知っているのか!?」

「知ってるよ。僕の守るべき御方だからね」



まさか、仲間?
いや、俺達6人以外は裏の仕事をしている執事は屋敷にはいないはず。俺を騙そうとしているのか、それとも…。





「アガットって、仕事している時のウイッグって、ハルク様と同じ髪型のにしてるんだね?」

「何が言いたい?」

「奇遇だね。僕もそうなんだ…」



そいつがフードを取った。
髪色は黒だが青のメッシュが入っており、髪型は俺と同じで毛先は跳ねていた。更にそいつは口に二つのピアスをして、その一つが耳につけているピアスと繋がっていた。





「君は一体、誰だ?何が目的なんだ!?」

「目的か。きみを倒すこと」

「はあ!?」

「きみを倒して、僕は一番になる。そして、アメジストに褒めてもらう。それだけ」



わけがわからない。旦那様に褒めてもらうって、まるで子供じゃないか。





「そうだ。自己紹介がまだだったね。

はじめまして、ぼくはLibra。またの名をツユクサ。よろしく」



アガットがツユクサと対面していた時、他の仲間達もそれぞれに遭遇していた。



.
1/1ページ
スキ