Heredity
後日。
ボルドーと仕事についてのスケジュールの話について終えた後に切り出された。
「アメジスト様。以前話していたことですが、わかりました」
「何の話だ?」
「単刀直入に言います。アリスは、ラピスの娘です」
「………は?」
「これがその結果です」
ボルドーが調べたらしい報告書を渡された。写真が何枚かクリップで挟まれていた。一番上には現在のあの娘が映っていた。
アリス・パンナコッタ。
本来の名は、アリス・マチェドニアの報告書。
そこに書かれていたのは───
「ラピスは、18年前に双子の子供を産んでいます。一人は消息不明ですが、そのうちの一人はアリスです。DNA鑑定もしました。間違いなくアリスは、ラピスの娘です」
その結果に俺は言葉を失った。
じゃあ、以前の結果は……偽物?じゃあ、誰かが偽物を俺に渡したということか。またはすり替えた。
「その後、ラピスはアリスが3歳の時に病気で亡くなっています。その後にルビー・マチェドニアも子供をペリドット・パンナコッタに預けて、失踪してます。時折、連絡は寄越しているそうですが、あちこちを転々としているので、居場所の特定は出来ておりません」
「…そうか」
「今後も彼を調べますか?」
「いや、もうルビー・マチェドニアはどうでもいい。それよりも問題なのは───誰が俺にアリス・マチェドニアの情報をすり替えたのかだ」
「すり替えた?」
「ああ。以前にもあの娘のことは調べた。その時の報告書にはラピスとは無関係と書いてあった」
俺の発言にボルドーが驚いた表情をする。
「それは何者かが本当の情報と変えて、旦那様にそれを読ませた。つまり───」
「うちに裏切者がいる。どこからの刺客かはまだわからないが、相当の者だな。だが、絶対に見つけ出して、正体を暴いてやる」
俺を裏切っているんだ。
相応の、いや、それ以上の罰を受けてもらわないとだな。
【END】