Cherry-blossom viewing(後)

おまけ。

夕方。お坊っちゃまと屋敷に戻ってくると、見覚えのある後ろ姿を見つけた。



「もしかして、トキくん?」

「ん?あれ、アリス!?何でここにいんの?」

「やっぱりトキくんだ!トキくんこそ、何で?」

「俺は遊びに来ててさ。そっか。ペリドットさん、何も言わないから変だと思ってたけど。……そうか。ここにいるから言わなかったのか。うちの親父に遠慮したな」

「トキくん?」

「いや、何でもない。ところでお前の後ろにいる子は放っておいていいの?すごい目でこっち睨んでるけど」


そう言われて、振り返ると、不機嫌な顔のお坊っちゃまが立っていた。
しまった。忘れてた…。



「あ、お坊っちゃま…」

「……随分とそいつと楽しそうに話してたな、お前」

「楽しそうって…。父親同士が知り合いですから。昔から顔を合わせていたので、家族みたいなものですよ」

「どうだかな…」

「アリス、相変わらず鈍いのは変わってないよな」

「え?トキくん、どういう意味??」


そこへカルロ様が手に本を数冊持ちながら、やって来た。



「あれ?アリスとハルク。帰ってたんだ」

「カルロ様?トキくん、もしかして、友達って…」

「そう。大学の同級生。借りたいもんがあったから、ここに来たんだ」

「そうだったんだ」


トキくんと私が話すのを見て、カルロ様も目を丸くする。



「二人は知り合い?」

「そ。昔からのな」

「へぇ。だから、うちの弟が機嫌悪いのか…」

「機嫌悪くねェよ!」

「素直じゃないな、お前は」

「さて、お坊っちゃま。私達もお部屋の方に行きましょうか?」


私がお坊っちゃまに声をかけると、頷く。



「それじゃあ、私達はこれで失礼します。トキくん、またね!」

「ああ。またな、アリス!」


そう言って、私はカルロ様とトキくんと別れて、お坊っちゃまの部屋に向かった。





【END】
3/3ページ
スキ