Cherry-blossom viewing(前)
春。
桜も咲き始めて、数日───
「暖かくなってきたな…」
この屋敷の庭に桜の木がある。見てみると蕾がどんどんと増えてきて、あと少しで咲きそうだった。桜が咲いたら、思うことは一つ。
「お花見したいな…」
去年までは、毎年家族やいとこ達と大きな公園に行って、お花見に行った。流石にここの庭ではやらないけど、桜が咲いたら、どこかの公園でベゴニア達と行こうかな。
「お花見?」
私の一人言に返事が返ってきた。隣に学校から帰ってきたばかりのお坊っちゃまがいた。
「おかえりなさい。お坊っちゃま、いつからそこに…」
「お前が“暖かくなってきたな”って言った時から」
「最初からじゃないですか」
「それよりお花見ってなんだよ!」
私が聞いてるのに、無視しないでよ。これ以上聞いても答えないだろうから、仕方なく、お花見を知らないお坊っちゃまに簡単に説明した。
「桜の下で食べたり飲んだりしながら、桜を見るんですよ」
「ふーん…」
でも、ほとんどの人は桜の下で騒ぎたいだけな気もするのよね。私は桜を見るのは好きだけど。春しか桜は咲かないし。
「お坊っちゃまも誰かとお花見してみますか?」
そう聞いてみると、何故かこちらを見てくる。私の後ろに誰かいるのかな。振り返ってみるが、誰もいない。
「何で後ろ向くんだよ!」
「私の後ろに誰かいたのかと思いまして…」
「いねェよ!お前以外、誰がいんだよ」
えっ、私…?
前から思ってたけど、お坊っちゃまから友達の話を聞いたことない。私がここに来てからも遊びに行くのも見たことないし。いじめられてるとかじゃないだろうけど、まさか学校で一人なんじゃ…。
「お坊っちゃま。もしかして、お友達いないんですか?」
「いるよ!」
「じゃあ、お友達と行ったらどうですか?」
すごい不機嫌な顔された。何で?
「わかんねェならいい!この鈍感女!!」
「鈍感女?え、私が…?」
その後、お坊っちゃまは機嫌悪くて、私が話しかけても返事が怒り気味だった。私はお坊っちゃまをよく怒らせてばかりいる。わざと怒らせるつもりじゃないんだけど、気づくと怒らせてしまうのよね。でも、お坊っちゃま、たまによくわからないところで怒るからな。
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桜も咲き始めて、数日───
「暖かくなってきたな…」
この屋敷の庭に桜の木がある。見てみると蕾がどんどんと増えてきて、あと少しで咲きそうだった。桜が咲いたら、思うことは一つ。
「お花見したいな…」
去年までは、毎年家族やいとこ達と大きな公園に行って、お花見に行った。流石にここの庭ではやらないけど、桜が咲いたら、どこかの公園でベゴニア達と行こうかな。
「お花見?」
私の一人言に返事が返ってきた。隣に学校から帰ってきたばかりのお坊っちゃまがいた。
「おかえりなさい。お坊っちゃま、いつからそこに…」
「お前が“暖かくなってきたな”って言った時から」
「最初からじゃないですか」
「それよりお花見ってなんだよ!」
私が聞いてるのに、無視しないでよ。これ以上聞いても答えないだろうから、仕方なく、お花見を知らないお坊っちゃまに簡単に説明した。
「桜の下で食べたり飲んだりしながら、桜を見るんですよ」
「ふーん…」
でも、ほとんどの人は桜の下で騒ぎたいだけな気もするのよね。私は桜を見るのは好きだけど。春しか桜は咲かないし。
「お坊っちゃまも誰かとお花見してみますか?」
そう聞いてみると、何故かこちらを見てくる。私の後ろに誰かいるのかな。振り返ってみるが、誰もいない。
「何で後ろ向くんだよ!」
「私の後ろに誰かいたのかと思いまして…」
「いねェよ!お前以外、誰がいんだよ」
えっ、私…?
前から思ってたけど、お坊っちゃまから友達の話を聞いたことない。私がここに来てからも遊びに行くのも見たことないし。いじめられてるとかじゃないだろうけど、まさか学校で一人なんじゃ…。
「お坊っちゃま。もしかして、お友達いないんですか?」
「いるよ!」
「じゃあ、お友達と行ったらどうですか?」
すごい不機嫌な顔された。何で?
「わかんねェならいい!この鈍感女!!」
「鈍感女?え、私が…?」
その後、お坊っちゃまは機嫌悪くて、私が話しかけても返事が怒り気味だった。私はお坊っちゃまをよく怒らせてばかりいる。わざと怒らせるつもりじゃないんだけど、気づくと怒らせてしまうのよね。でも、お坊っちゃま、たまによくわからないところで怒るからな。
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