Amethyst

新しい学校。馴染めるなんて期待はしてなかった。
だって、俺しか庶民いないんだぜ?たまにドラマで見るようなプライドの高い高飛車なヤツとかもいたし。毎日嫌味とか言われたけど、ムカつくって気持ちよりも本当にそんなこと言うんだーってなったしさ。ちょっと面白かった。今日はどんなこと言ってくれるんだろうとワクワクした。
そしたら、ソイツとは仲良くなれたけど。


中にはいいヤツもいた。その中でもセレストはすげーいいヤツで話しやすかった。イケメンな上に性格までいいとか、神様与えすぎじゃね?同じクラスで隣の席だったこともあって、よく世話をしてもらった。面倒見が良いんだよな。アイツの彼女も優しくていい子だったし。お似合いだよな。





そんな中、俺は次の授業の教科書を家に忘れて来てしまったことに気づいた。他のクラスの友人に何人かに借りようと声をかけたが、授業がなかったり、誰かに貸したりで見つからない。



「ラピス!」

「ルビー。どうしたの?」



彼女とはセレストの彼女を通じて、知り合った。最初はそんなに話してくれなかったんだけど、少し前に街で迷子になっていた彼女を助けてから、心を開いてくれた気がする。笑うと可愛いんだよな!ラピスって。



「歴史の教科書忘れちゃってさ、お願い!貸してくれない!?」

「いいわよ。ちょっと待ってて」


良かった~。
ラピスも持ってなかったら、セレストに見せてもらうしかなかったんだよ。いつも頼ってばっかりだから、申し訳なくてさ。アイツは“気にするなよ!どんどん頼れ”って言ってはくれるんだけど。一部のヤツらが“セレスト様の手を煩わせるな”ってすごい目で睨んでくるから…。セレスト、かなり人気あるしな。ラピスも結構人気あるけど、誰も近づかないんだよなー。何でだろう?

それにしても持つべきものは友達だよな!



「はい。これ」

「助かったー!マジでありがとう!このお礼は必ずするから」

「大丈夫よ。気にしないで」

「いやいや!本当に助かったからさ。後でジュースでも奢る!……やべ、チャイム鳴った。ラピス!ありがとうなー!」


ラピスの教科書を手に持ちながら、彼女に手を振って、自分の教室へと走った。





その時は気づかなかった。
ラピスの背後でずっと俺のことを睨んでいた彼の存在に───。



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