Little Princess




予想を裏切らず、自分の部屋の前で座り込んでいるハルクの姿があった。

「ハルク」

「リク兄!アリスが…」

「静かに。彼女ならここに」

「リク兄のところにいたの?」

「違うよ。眠れないって、廊下を歩いてたのを見つけてね」

「気づいたら、姿がなくて、すげー焦ったのに…。自分から出て行ったのかよ」

「顔に出さなくても不安な時は誰にでもあるからね。さて、ベッドまで連れて行くよ」

「平気。自分で連れてくから…」

「何だか、ハルクは王子様だね」

「王子様? なーんか、子供扱いされてる気がする」

「今のアリスさん、お姫様みたいじゃないかな?」

「……否定はしない」

僕はハルクに眠るアリスさんを起こさないように渡す。

「やっぱりオレじゃダメなのか…」

「ん?何が」

「………何でもない。ありがと、リク兄」

そう言って、ハルクはアリスさんを抱っこして、部屋に入った。

「オレが王子なら、キスしたら目覚めんのか……?…………なんてな」



.
9/10ページ
スキ