Little Princess
予想を裏切らず、自分の部屋の前で座り込んでいるハルクの姿があった。
「ハルク」
「リク兄!アリスが…」
「静かに。彼女ならここに」
「リク兄のところにいたの?」
「違うよ。眠れないって、廊下を歩いてたのを見つけてね」
「気づいたら、姿がなくて、すげー焦ったのに…。自分から出て行ったのかよ」
「顔に出さなくても不安な時は誰にでもあるからね。さて、ベッドまで連れて行くよ」
「平気。自分で連れてくから…」
「何だか、ハルクは王子様だね」
「王子様? なーんか、子供扱いされてる気がする」
「今のアリスさん、お姫様みたいじゃないかな?」
「……否定はしない」
僕はハルクに眠るアリスさんを起こさないように渡す。
「やっぱりオレじゃダメなのか…」
「ん?何が」
「………何でもない。ありがと、リク兄」
そう言って、ハルクはアリスさんを抱っこして、部屋に入った。
「オレが王子なら、キスしたら目覚めんのか……?…………なんてな」
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