Little Princess
アリスさんが眠ってしまった。
その寝顔につい微笑んでしまう。
「子供はあまり好きじゃなかったんだけどな…」
弟達は別として、小さい子供は好きじゃなかった。
「……」
それが今、この子を可愛いって……愛おしいとさえ思える。
…………それはきっと、彼女だから……なのかもしれない。
「あれ?リク。抱っこしてるのは…」
「カルロ兄さん。アリスさんだよ。少し前に寝ちゃったんだ」
「安心して寝てるね」
「……そうだね」
いつまでもこうしていたい……
ふと沸き上がった感情に蓋をする。
僕は立ち上がり、アリスさんを起こさないように抱える。
「さて、アリスさんを部屋に帰してくる」
「どこに?」
「今頃部屋でアリスさんがいないことに気づいてる弟の元に」
「目に見える展開だな」
「……いつか来る日に備えて、今は少しでも心穏やかに過ごさせてあげたいしね」
「皆がそうなんだけどな」
「僕たちみたいにハルクはまだ実感もないから」
カルロ兄さんと別れ、ハルクの部屋へ向かう。
「今夜は……満月か。どうりで明るいわけだね」
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