Little Princess




暫くして、お坊っちゃまは眠ってしまったらしく手の力が抜けた。

私が“離して!”と騒いでいたのが子守唄になったのかと思うと、何だか複雑だけれども。

眠っているお坊っちゃまを起こさないようにベッドから抜け出す。部屋を抜け出して、廊下を歩く。

「はやくもどりたい…」

「あれ?アリスさん…」

テラスにリク様がいた。本を置いて、私の元へ近寄ると屈んでくれた。優しい!

「ハルクの部屋にいたんじゃないですか?」

「そうなんですけど、ちょっとねむれなくて…」

ずっとこのままだったら、どうしようとか考えてたら眠れない。ドラ様が作ってくれてるはずなんだけど。


「……。ちょっとここで待っていてくれますか?すぐに戻ります」

そう言って、リク様はどこかに行ってしまう。

と、リク様は少しして戻ってきた。手には二つの飲み物をトレーに乗せながら。


「どうぞ。ホットミルクです」

「ありがとうございます!」

早速、それをもらい、飲んだ。少し温いけど、私、猫舌だから丁度いい。


「おいしいです!」

「ふふ、口に合って良かったです。何だか妹といるような気分ですね」

「妹…」

「嫌でした?」

「いえ!そんなことありません。リクさまみたいなおにいさんがいたら、うれしいです…」

リク様に妹と言われた時は、胸に痛みが走った。
私、やっぱり…。

「アリスさん?」

「あ、はい!」

「どうかしましたか?」

「いえ」

それから暫く、リク様と話をしていた。
リク様のオススメの本の話。
たくさん知られて嬉しかった。

「んー…」

「眠いなら寄りかかってもいいですよ?」

「いえ、だいじょうぶですから…!」

「眠いんじゃないですか?無理しない方がいいですよ」

そう言って、私を膝の上に乗せて、抱っこされた。嬉しいけど、恥ずかしい!

「あ、あ、あ、あ、あの…リ、リ、リ、リクさま…」

「何ですか?」

眩しい。
笑顔をこんな近くで見ることになるなんて…。吸血鬼だったら干からびてしまうところだ!

更には頭を撫でられ、興奮と眠気と興奮と、リク様の色気で意識が朦朧とする。



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