Little Princess




「おろしてください!おぼっちゃま…」

「ヤダ」

辿り着いた先は、お坊っちゃまの部屋。
中にアガットさんがいた。


「お坊っちゃま、何で女の子を抱えてるんですか!?」

「アガットさん、わたしです!アリスです!!」

「えぇっ!?アリスさん…!?」

「お坊っちゃま、アリスさんに似た恋人が出来たんですね。名前まで同じなんて」

「だから、本人。ドラのせいらしい」
 
「……なるほど。明日詳しく聞くとして、今夜はもう寝ましょう」

時計を見ると、23時を回っていた。
バタバタと色んなことがありすぎて……時間が早いわけだ……

軽くシャワーを浴びて、パジャマに着替えた。のだが…。

「わたし、ゆかでねます…」

「ベッドで寝ろって。広いんだし」

「いやいや、おぼっちゃまとねられるわけないじゃないですか!おきになさらずに…」

床で寝ようとした。
しかし、抱き上げられて、ベッドの上に座らせられた。


「変なことしない。それだけは宣言する」

「俺も見張ってますから」

…………下手したら、アガットさんに寝顔見られちゃうんだ……
男の人に見られるって……恥ずかしいな。

「おやすみなさい」

電気が消えて暫くすると、心地よい寝息が聞こえてきた。

お坊っちゃま、疲れたんですね。
ものの数秒で眠るなんて。

そう思っていたのに、背中がポッと温かくなる。
……寝返り?
……違う。
もぞもぞと密着度が高くなる。

もしかして、寝息はアガットさん!?
見張ってるんじゃなかったの!?
疲れていても……寝ないで下さいー!

「あの…」

「何?」

「なんでひろいのにくっついてるんですか?」

「いいじゃん。くっついてたって。あと、アリスがベッドから落ちそうだから」

「そこまでねぞうわるくないです」

「それに、さ……急にこんなになって、心細いんじゃないかって……思ったんだよ」

「へいきです。むしろ、くっついてるほうがおちつきません」

「甘えていいんだよ……てか、小さい子は年上に甘えるもんだろ」

「わたしのほうがとしうえですよ」

「今はアリスのが年下なんだよ」

そう言って、お坊っちゃまはクスクス……ゲラゲラと笑う。

「お坊っちゃま?」

「変なの」

「なにがです?」

「オレより年上だったはずなのに、今はオレより小せェ…」

「はやくもとにもどりたいです…」

「いいじゃん。そのままで」

「いやです。このすがたではしごともできませんし。おぼっちゃまのおかしもつくれないんですよ!いいんですか?」

「だって、このままなら…」

お坊っちゃまは私を抱き締めて、耳元で何か言った。
けど小さすぎて何を言ったかは聞き取れなかった。



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