Little Princess
午後になって、本当に服が届いた。というか、可愛い服ばかり。こんなの着たことないし、私に似合うの?下着は新品で何枚か入ってた。助かった。
ありがとう!リコリス様。まだ一度も会ったことないけど。
下着と一番シンプルそうな服を取って、着替えに行こうとしたら、タスク様に止められた。
「あの、タスクさま…」
「アリス、これ着てよ」
「え?」
渡された服は、この中で一番可愛い服。いや、私に似合いませんから!
「このふくはちょっと…」
「リコリスに服を頼んであげたのは誰?」
「タスクさまですね。ほんとうにありがとうございます。たすかりました!」
「うん。なら、服もオレが選ぶ。アリスに拒否権はねーから!」
横暴だ!
渋々、私はその服を着ることになった。サイズはピッタリ。思ったよりは動けるが、似合うかどうかは別である。
「可愛いじゃん。似合う、似合う!」
「…ソウデスカ」
「メイズ。アリスの髪、服に合うようにして」
「いいっすよ。この服なら、サイドを上げるのもありっすね!」
メイズが素早く私の髪をいじる。てか、器用だね。
「ん、なんすか?アリス」
「メイズ。なれてるなーとおもって」
「昔、施設で小さい子の髪をやってあげてたから。自分の髪もいじったりするし」
そうなんだ。
ん?施設。私、聞いて良かったのかな。
「別に気にしてない。施設は結構楽しかったからさ」
「え?」
「顔に書いてある。アリスの顔に」
私、顔に出やすいのかな。カルロ様にも言われたのよね。誰に似たんだろう。
「可愛い!一番可愛いのはリコリスだけど。それ着てると、リコリスにちょっとだけ似てるし!リコリスの妹にも見える。あ、写真撮らせて。リコリスにも送るから!」
「ちょっ…」
止める間もなく、あっという間に写真を撮られた。タスク様、行動が早い。というか、カメラ、いつ持ってたの?
「一枚だけじゃつまんないなー。アリス、ここにある服、全部着て!写真に撮るから」
「ぜんぶ!?」
「そう。次はこれ。着て!」
「……ワカリマシタ」
タスク様に逆らえるわけないので、私はリコリス様から送られた服を全部着て、写真を撮った。しかも、服を着替える毎に髪までその服に似合う髪型にもさせられた。メイズは服を見るなり、すぐに服に似合う髪型にセットするし。本当にすごい。
撮影会が終わったのは、数時間後。
私は疲れたので、気分転換のために外に出ることにした。ドラ様には他の誰かに見つからないようにフード付きの服を渡された。ありがたく受け取って、それを着た。
「やっぱり外はいいな…」
ドラ様に教えてもらった場所は、人が来ないところで、つい心地よくて、寝てしまった。
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