When I turned around, I knew someone
「はぁ……」
どうしてこんな時に限って、執事長が見つからないのかしら……
「いってぇ!」
「きゃあ、すみませ──」
謝りながら顔を上げて驚愕する。
何故なら、そこにいたのは……リク様の彼女で……
何故か、下着姿だった。
「って、アリスか」
あまりの状況に何も耳に入ってこない。
あぁ、私きっと辞表を出す前に打ち首だわ……
リク様の彼女の服をぶつかった拍子に切り裂き、こんな姿にさせてしまったんですもの……
……!
私ってば、何してるの!
違うでしょ!
慌ててメイド服を脱いでいる時だった。
「アリス! 何やって……うひゃあ!」
来たと思った、お坊っちゃまは顔を押さえて走り去った。
……何しに来たの?
もう、私はどのみち──
「アリスさん! 何をしているんですか!?」
お坊っちゃまと入れ替りでやってきたのは、リク様だった。
私は背を向けて丸くなる。
「リク様、アリスではありません! 亡霊……いえ、悪霊です!」
「何いってるんですか、アリスさん。それと、彼は僕の彼女じゃありませんよ」
「……え?」
「よく見てください、アリスさん」
「……よく見る……?」
リク様に言われた通り、リク様の彼女をよく見る。
スラッとした生足……
男物の下着……しかも露出が……
「そんなに見つめんなよ」
「この声!?」
「色気のあるお化け役なんだって。ライは何か勘違いしてるよって、何度も言ってるんだけどね」
「ラ、ライ様!?」
「アリス騙せんなら、いけるだろ?」
「だから、問題はその格好の方なんだって」
「えっと、リク様の彼女はライ様で。ライ様はお化け役で…………ライ様!?」
なんだ……良かったぁ。
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