When I turned around, I knew someone
「リク様と話したら、リク様の彼女に悪いので、やめておきます。それでは、失礼します…」
そう言って、アリスは去っていく。
いつになく暗いアリスの姿に二人は顔を見合わせる。
「リク兄に彼女?いたっけ?」
「リク兄に彼女なんていねェよ。女に触られたら、じんましんが出来るんだから」
「そうだよね。アリスは何言ってんの?」
「オレもわかんねェ。もしかして、リク兄と何かあったのかな…」
二人が談話室に来ると、ハルクが大声を上げていた。室内には、ハルクとカルロの二人しかいない。
「アリスの元気がなくて、もう辞めるとか言ってんだよ!どうしたらいい!?」
「それは、かなりやばいな」
「オレ、アリスがいなくなったら…」
「アリスがいなくなったら、ダメージ受けるのはお前だからね」
「辞められたら、会えなくなっちまう!」
「そうだね。うちを辞めたら、接点はなくなるね。親父は辞めた人間のことなんて、どうでもいいし。お前がアリスのところに行こうとするなら、絶対に止めるだろうな」
「そうなったら困るから、聞いてんじゃん!」
「良い機会だから、アリスから離れる準備したら?ハルク」
「絶対にしねェ!もういい!自分で何とかする!」
ハルクは怒って、出て行ってしまう。
「あそこまで一途だと、羨ましいね。俺には真似出来ないよ」
「アリスが世話係になってから、毎日がすげー楽しそうだからね、アイツ」
そこへハルクと入れ違いにリクが入ってくる。
「今、ハルクが飛び出して行ったけど。カルロ兄さん。また何か言ったの?」
「アリスが辞めそうなんだよ」
「アリスさんが?家の方で何かあったの!?」
「違う」
「じゃあ、一体…」
「リク兄が女の人と歩いているの見たからだよ」
「僕が女性と?歩いてないけど」
「え?」
「だって、アリスが見たって…」
「うーん……いつの話だろう?」
「心当たりは?」
「全くないけど……僕、アリスさんと話してきます!」
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