Be Careful not to Drink too Much




「ねえ、ライ。喉乾いたんだけど」
「……マジか……今、コレしかねーんだけど」


そう言って、ライが取り出したのは“スッポーンまぁ虫ードリンクX”。
噂によると前回よりもパワーアップして、意識がぶっ飛ぶ体験が出来るんだとか……
まさか、ライが持ってるなんて……


「頂くわ」
「そんじゃ、かんぱーい♪」


あたしとライはソレを一気に飲み干した。
すると──


「え……」


目の前にあたしがいた。


「お! おれがいる!」


──確かに意識がぶっ飛ぶ体験だわ……
まさか、ライと入れ替わるなんて。


「よーし! 誘惑しまくるぞー!」


そう言うと、ライは部屋を出ていってしまった。


「って、ちょっと待って!」


慌てて彼を追うが、もういない。


「ライのバカ!」


そう、あたしは……いや、彼は……
“全裸”で行ってしまった。


「もう……街中の人を虜にしちゃうじゃない……」


あたしは下着を身に付け、服を着て部屋を出ていく。
すると早速、声を掛けられる。


「ラ、ライ様!?」


声を掛けてきたのは、オーキッドだった。
彼は妙に興奮してるように見える。


「お、お似合いですぅ……」


そう言われて、初めて気付いた。
“あたし”の服をそのまま着ていた。

……何だか、普段の印象と違わない?
彼ってば普段、妙にガードが固いのよね。
もしかして、彼はライの事が……?
そおだ、オーキッドをこのまま襲っちゃお。


「なあ、オーキッド。部屋、来いよ」


出来るだけ、ライのように話す。


「え! あ……いいんですか?」


やっぱり、ライに気があるのね。

あたしはライの部屋にオーキッドを連れていくと、服を脱ぎ始めた。


「……はわわ……ライ様……セクシィ……」


オーキッドはそう呟いて、勢い良く鼻血を噴き出して倒れた。
辺りは一瞬で血の海と化した。


「……あら、あたしの脱ぎッぷりにヤられてしまうなんて……」


別の意味でオーキッドをヤってしまった。

服も去ることながら全身に血を浴びてしまい、一度お風呂に入ることにした。

お風呂ってことは、誰かしらがいるはずね。
もしかしたら、兄弟達と遭遇するかも!
この姿なら油断するだろうし、簡単にヤれるんじゃ……

期待を胸にお風呂場を目指して歩く。


「ライ様? 怪我をされたんですか?」


声に振り向くと、アンバーがいた。


「そうなんだよ。だから介抱して」


今日、執事運すごくないかしら。

アンバーは微笑むと、あたしをお姫様抱っこした。
顔の距離が一気に近付き、思わずドキッとする。
このまま彼とヤるのもいいわね。
執事は主人に逆らえないものね。


「ライ様、着きました」
「ありがとう、アンバー。それじゃ──」
「それでは」


アンバーはあたし(ライ)の服を一気に脱がせた。
やだ……すっごく積極的じゃない。

しかし──


「薬草サウナ、30分。その後、水風呂1分。それを5回ほど繰り返していただきます」
「…………はい?」
「それで傷は完治し、気分も晴れますから」
「……あ、怪我は嘘──」
「手を抜いたら治るものも治りませんから、しっかり見張らせていただきます」


早速、アンバーをヤろうと思ったことを後悔した。

はぁ。
暑い、暑すぎるわ……

すっかり身も心も萎えてしまった。
すると、一気に息苦しさに襲われる。


「助け…………息が──!」


暫くして、目の前が真っ暗になった。



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