Cut off My Sister
【side リコリス】
「ふふのふぅ~♪ あははのはぁ~♪ むふふのふふふ~♪ きゃはは(*≧∀≦)人(≧∀≦*)♪」
「リコリス……今のお前、最大級にやべェから」
「仕方ないじゃない。はぁくんが今の私だったら、もう出血多量で悲惨なことになってるわよ?」
「そんな殺人的な要素ねェだろ……」
「私はアリスに殺人的にやられてしまったの……」
「はいはい、悩殺な」
「いやん、はぁくんったらぁ(○´∀`人´∀`○)」
「反応やべェから。つぅか、タスクさんと何かあったのか?」
「え? タスクさん?…………うーん……」
アリスと間違えるっていう、彼女にとんでもなく悪いことをしてしまったんだけど……
タスクさんはアリスとの仲直りのキッカケをくれたのよね。
だからきちんとお礼も伝えたし、問題も解決してるのよね。
「特にないわよ」
「そっか。なら、いいんだけど……」
「タスクさんがどうかしたの?」
「最近、見境なく色んなヤツに手を出してるらしくて」
「まぁ! 若気の至りかしら」
「男にもだぞ……」
「何か病むことでもあったのかしら……」
「タスクさんに襲われかけたヤツ、リコリスの名前を出されたとか……」
「私?」
「本当に心当たりねェのか?」
はぁくんによると、タスクさんの症状はこれから数ヶ月続いたのだとか。
元に戻るキッカケとなったのは、執事長に迫ったこと。
危うく辞めさせられそうになったけれど、周りからの信頼と普段の仕事態度から回避出来たって聞いたわ。
「あら、タスクさん。こんにち──」
仕事中のタスクさんに数ヶ月ぶりに挨拶をしたんだけれど……
私の顔を見るなり、青ざめて逃げるように去っていった。
一体、どうしたのかしら。
「……暫くは仕方ねェだろな。ま、タスクさんから挨拶するようになったら、優しくしてやれよ?」
「いつも私は優しいわよ、はぁくん?」
はぁくんの後ろから走ってくるアリスが目に入った。
「アリス!」
私もアリスに駆け寄っていく。
「リコリスお姉ちゃん……ハルクが……」
「分かってるわ……はぁくん。ちょっといいかしら?」
「はぁ?」
「アリス、ちょっと待っててね」
はぁくんを裏庭に連れていく。
「はぁくん。倉庫の掃除。それから駐車場。それから──」
「はぁ!? 一人でかよ……これ、何日かかると──」
「本日中によろしくね? さぁて、使用人の皆様! 本日は一緒にお出掛けしましょう」
私は使用人達を引き連れ、遊園地を貸しきりにして遊び回った。
もちろん、私はアリスと二人きりで。
最後の観覧車でアリスが申し訳なさそうに話を切り出した。
「リコリスお姉ちゃん……ハルクは? 遊園地、来てないみたいだけど……」
「はぁくんにはとても大切な用事を頼んだの」
「そっか。お礼に何か渡したいなって思ったんだけど、何がいいかな?」
「お礼?」
「お姉ちゃんとケンカしてる間、ずっと声かけてくれて……私、ハルクにひどいこと言ったりもしたのに……」
もしかしてあの時、アリスが言いかけたのはこの事だったの?
私ってば早とちりで……
「そうだったのね……大丈夫よ、アリス。あなたが笑ってさえいれば、はぁくんは幸せよ」
私がそうなんだもの。
アリスの笑顔はお金でも買えないもの。
そう思うと、はぁくんはなんていい暮らしをしているのかしら。
それより、私こそはぁくんに酷いことしてしまったわ……
後でアメを与えないとね。
何がいいかしら。
そうだわ!
──数日後。
「うわぁぁあああっ!!」
まぁ、はぁくんったら嬉しい悲鳴をあげてるわ。
それもその筈ね、たくさんのアリスをプレゼントしたんだもの(*≧∀≦)人(≧∀≦*)♪
中身は使用人達だけど。
一人、立候補した変わり者も入ってるけど。
「はーるく! おれもアリス!」
「ちょ、その格好で脱ぐな!」
「えろえろえろさえむ~!」
「呪文唱えるな! いや、呪文にすらなってねェし!」
〈Cut off My Sister-妹断ち-〉
END.
(2024.02.18)