Cut off My Sister




「はあくん。私、決めたわ!」

「何を?」

私の部屋のベッドの上で、私に用意されたお菓子を食べながら、はあくんが返事した。よくぞ聞いてくれました!私は、はあくんに向かって宣言する。


「アリスから少し離れ「無理」

「ちょっと最後まで言わせて!」

「無理無理。絶対に無理!」

「三回も言わなくても。それにまだわからないじゃないの(`Δ´)」

「見なくてもわかるっつーの。すぐ耐えきれなくなって、しばらくアリスから離れなくなるだろ」

はあくんにズバッと正論を言われた。確かに今まではそうだったけども!

「いいえ、今回は違うわ!立派にアリス断ちするわよo( ・`ω・´)o」

「立派にアリス断ちって何だよ。意味わかんねェから」

「いつまでも私がアリスにべったりするのも良くないと思って決めたのよ!」

「今更だろ。ま、そんなにしたきゃすればいいじゃん。アリス断ち。でも、下手なことして、アリスを泣かせんなよ?」

「そんなことしないわよ(*`ω´*)」

だが、この時の私ははあくんに言われたことが当たるとは思ってもいなかった。


「リコリスお姉ちゃん!」

夕方。
お父さんの書斎から本を借りて、部屋に戻ろうと廊下を歩いていたら、背後から私を呼ぶ声がした。

この声は、私の天使(*≧ω≦)振り返れば、アリスが私の元に駆け寄って来てくれた。相変わらず可愛いわね。私の胸がドキドキしっぱなしよ(/▽\)♪
……って、違うわ!私はアリス断ちをしないといけないんだから。

「どうしたの?アリス」

「あのね!今度のお休み、空いてる?」

「次のお休み…」

今、手元にスケジュール帳はないが、今週の土日はどちらもパーティーに呼ばれていたはずだ。土曜日の方は友人との内輪パーティーだから、気は楽だけど、日曜日は大きなパーティーだから挨拶回りが大変なのよね。セシリア達が一緒だから良かったけれど。そうじゃなければ、憂鬱だったわ( ´Д`)=3

「ごめんね。今週はどちらも予定が入っているのよ…」

「………そっか。予定が入ってるんだ…(._.)」

アリスの悲しい顔を見て、絆されそうになったが、何とか耐えた。くっ!私もアリスと出かけたかった(*T^T)でも、ダメよ。昨日、はあくんにアリス断ちを宣言したから、すぐには撤回出来ない。今回は丁度予定が入っていたのだけれど。

「また今度、一緒に出かけましょうね!」

「うん!」

それからも何度かアリスに誘われても、断ってばかりいた。中には予定が入っていない時もあったけれど、私は心を鬼にして、断っていた。

すると、ある時。
その日もアリスの誘いを断っていたら、アリスが俯いてしまった。

「アリス?」

「……わかった。もういい!」

「え?」

顔を上げたアリスは、ポロポロと涙を流し、泣いていた。ハンカチを渡そうとしたが、拒否された。

「リコリスお姉ちゃんは、私と出かけたくないんだ!」

「そんなことはな…!」

「あるもん!誘いをみーんな断ったじゃん!それなら、もう誘わないよ!嘘つき!リコリスお姉ちゃんなんか、大っ嫌い!!」

「アリス!」

アリスが私から逃げるようにして、走り去ってしまった。ようやく私は、選択肢を間違えてしまったことに気がついた。そう気づいた時には、もう遅かった───。

翌日。
アリスは、私と目が合っても、そっぽを向くようになった。話しかけてもくれなくなった。こちらから声をかけても、逃げてしまうのだ。

傷つけてしまったから、何度かはあくんに頼んで、お詫びのお菓子などを渡してもらったが、どれも受け取ってもらえず、丸々返ってきた。

アリスに嫌われた~(T_T)大嫌いって言われた。アリスから一番聞きたくなかった言葉。今も思い出すだけで涙が出てくる。

アリスと口をきかないようになって、早くも二週間が経過していた。表向きは何事もなかったようにしているが、内心は泣き続けている。だって、天使が私の元に来なくなって、癒しを失ったんだもの。辛い!辛いわ!写真だけじゃ満足が出来ないのよ!(TДT)

相変わらずアリスは、私と目が合うと逃げてしまうし。アリスのお付きのアガットに頼んでも、「お嬢様を傷つける者は許しません。私はお嬢様の味方なので!」とか言われて、アリスに会わせてくれないし。クロッカスに頼んでも「アリス様が不憫です。今回ばかりはリコリス様を庇いきれません」って呆れられたし。もうどうしたらいいのよ(´TωT`)

「だから、言っただろ」

「……………」

「アイツ、ずっと泣いてたぞ。リコリスお姉ちゃんに嫌われたって…」

嫌いになってない。私はただ…。あまりアリスにべったりし過ぎるのも良くないと思って、少し離れようとした。

「リコリス。お前さ、バカだろ…」

「……………」

そんなの言われなくっても自分が一番わかっていた。どうして、私はあんなことをしてしまったのか。戻れるなら、あの時に戻りたい。

「どうしようもないほどのバカだったわ。誘ってくれるアリスの気持ちを無視して、自分の身勝手を優先してしまったんだから」

「だから、無理だって、言っただろ?」

「……………うっ(´ノω;`)」

「リコリス!?」

部屋だから、泣いてもいいわよね!はあくんしかいないんだし。私ははあくんにすがりつくようにして、声を上げて泣いた。


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