Pomegranate
「もうじき、アメジスト様の誕生日だな」
窓の外を見つめながら、ノワールが呟いた。
「あれ? クロ、まだ用意してないの?」
「逆にもう用意できているのか、ブロン……そっちのが驚きだぞ」
「見たい? ねえ、見たいでしょ?」
そう言って、ブロンはノワールの腕を引っ張って行く。
「……見たくはないが、気にはなるな」
「じゃじゃーん!」
「犬の……ぬいぐるみ!?……しかも大きい……」
「似合うと思わない?」
「全然」
「えー……」
「ブチ切れっぞ?」
「分かってないなぁ……喜ぶこと間違いないのに」
そう言って、ブロンはクスクス笑う。
「……俺じゃあるまいし」
「え! クロってば犬好き? ぬいぐるみ好き!?」
「そういう意味じゃない……俺みたいに冗談が通じる男じゃないだろって事」
「オレ、本気だけど?」
ブロンは真面目な顔で答えた。
「……強者だな」
「クロも今年は同じようなプレゼントにするね!」
「いらん」
「そんなこと言わないでよ、絶対に喜ぶって!」
「かさ張る! 好み外! 無駄遣いだ!」
「……そこまで言っちゃう?」
「話は終わり。仕事に戻るぞ、ブロン」
「はいはーい」
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