School infiltration Edition(前)
お昼休み。
少し前にタスク様からLIMEが届いて、言われた場所に来て早々、タスク様は私に言った。
「昼食を食べに行こう!アリス」
「え!?流石にバレてしまうのでは…」
「堂々としてれば、平気だって!アリスも腹へったでしょ?」
「お腹は空いてますけど」
お金も持ってないから、何も買えないし。へたに彷徨いて、先生に見つかりたくない。そのせいで図書室から一歩も出られなかった。
取り合えず、メニューはタスク様に任せた。私は人が少なそうなところで席を確保した。テラス席だが、ここなら席数も少ないし。人もいない。外だから、天気も良いから、気持ち良く過ごせそうだ。
「アリス、ここにいたんだ。探すのに苦労したよー!」
「すみません。中だとバレた時が怖いのと落ちついて食べられないと思ったので。ありがとうございます」
タスク様から、食事を受け取る。
明太子スパゲッティとサラダにアイスティーまでも。屋敷に帰ってから、支払うとタスク様に言ったが、無理に連れてきたから、支払わなくていいと言われた。私は「ありがとうございます。遠慮なくいただきます」とだけ伝えると、タスク様は笑った。
タスク様の方も私と同じ物だが、飲み物はブラックコーヒーだ。そういえば、甘いのはあまり好きではないんだっけ?お坊っちゃまとは正反対だな。お坊っちゃま、コーヒーも紅茶も砂糖、ミルク入れないと飲めないし。
「んで、どうだった?」
「たまたまお坊っちゃまのクラスが体育の授業をやっていたのを見かけたのですが、クラスの子達と楽しそうにやっているので、安心しました!」
「まるで親目線じゃん!」
「私では親にはなれませんけど、お姉さんにならなれますから」
「ハルクはそれを望んでねェと思うけど」
「そうなんですよ!お前みたいな姉なんかいらねェと言われたんです。私の年齢では妹にもなれないですし」
お坊っちゃま、何で嫌がるんだろう?私がきょうだいになるのが嫌なのかしら。悲しい。
「……。アリス、それマジで言ってんの!?」
「弟の方が良かったんですかね!性別と年齢、どちらも変えられないのに…」
「……これは相当だわ。姉や妹じゃなくて、恋人とか考えたりしねェの?」
「恋人?誰と誰が」
「ハルクとアリス」
私とお坊っちゃまが恋人。
……。どうしよう。全然、想像が出来ない。
「すみません。お坊っちゃまのこと、そんな風に見たことがないので、全然想像が出来ません」
「あー。その険しい顔は必死に考えようとしてたんだ…」
「お坊っちゃま、弟みたいにしか見えませんから」
「……………」
タスク様が絶句していた。しかも、私を憐れむような目で。何で?
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