Secret Bookshelf



その夜。
書斎にカルロとアンバーがやって来た。どうやらカルロが読み終えた大量の本を置きに来たらしい。二人で手分けして、棚に全ての本を戻した時、アンバーが暖簾の存在に気づく。


「あれ?」

「どうかした?アンバー」

「こんなところに暖簾があったので。一週間前まではなかったような…」

「本当だね。いつからあったんだろう?……ん?ライ専用??」

「ライ様専用?18才未満立入禁止??」

「俺達は成人して関係ないから、入ってみよう」

気になったのか、カルロが暖簾をくぐり、入って行く。アンバーも後を追う。カルロが何となく目についた本を手に取れば、手で豊満な胸を隠し、挑戦的な目線をした裸の女性が写っていた。どうやらヌード写真集のようだ。


「…………」

「あ。これって、三年前に引退した元アイドルのAV女優じゃないですか!」

「随分と詳しいね、アンバー」

「詳しいダチがいるんで。この写真集、今ではプレミアついて、なかなか手に入らないと聞きましたよ」

「へぇ、そうなんだ」

興味を持った二人は、パラパラとその本をめくる。最初は下着姿であった女性が、頁を進めるごとに脱いでいき、裸になって写っていた。そこから最後まで、ずっと裸だった。


「すげー…」

「何?アンバー、じっくり読みたかった?」

「そりゃそう……って、違いますよ!」

「あはは。本音がただ漏れだよ。知ったら、スマルトが怒るんじゃない?」

「………うっ」

流石に妹には知られたくないのか、アンバーは黙ってしまった。実際にスマルトが知っても、怒りはしない。「仕方ないんじゃないかしら。兄さんも男の人だし」といつも通りに答えるだろう。



「てか、ここの中の本、そういうものばっかりですよ!普通の写真集も少しはありましたけど」

「女性だけじゃなく、男のもあるね。漫画もそういうのメインのばっかりだし。流石はライ。期待を裏切らないね…」

「やっぱりライ様のか」

「漫画は届かないように高いところに置いてるということは、下の弟達に配慮して、注意の紙まで貼った。これをやったのは、リクだな」

「そうでしょうね。クロッカスも手伝ったはずですよ」

写真集を棚に戻すと、他の本も手に取ってみる。アンバーも同じく気になる本を手に取った。
結局、二人は二時間くらいまで、そこで本を読んでいたのだった。

それからライの本棚には、何人かがこっそりと入っては、しばし読みふけるということが起こるようになった───。





【END】
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