Secret Bookshelf
「ライ。話があるんだ。いいかな?」
「リク兄。おれに話?何?ナニ!?」
「違う!」
ライがリクに抱きつこうとした瞬間、リクが近づけさせないように手でライの顔を塞いだ。それに少しだけ傷ついたのか、ライは口を尖らせる。
「ちぇー。違うのかよ…」
「書斎にいかがわしい本を勝手に置いてたよね?しかも、大量に…」
「いかがわしい?ちっげーよ!」
「え、ライのじゃないの?」
てっきりライの物だと思っていたリクは、目を丸くした。それなら、あの大量の本は誰の物なのか、考える。すると───
「いや、おれのだけどさ。全然いかがわしくなんかねーよ。ためになったおれの愛読書達!」
「………。じゃあ、何なの?」
「全てがおれのエロいことに役立ったエロ本…いや、宝の山達!!……………痛てえ!!」
超笑顔で言い切ったライにリクは、無言で頭に拳骨を落とした。
「ふざけんな。ちょっとそこに座れ」
「え…」
顔を赤くするライにリクは、かなり引いた。
ライに引きながらも静かにキレたリクは、ライをその場で正座させ、叱った。正座に慣れてないライはすぐに足が痺れ、リクに訴えるも聞いてもらえず、更に怒られた。
ようやくリクが去った後、床に倒れるライの姿があった。だが、その表情はニヤついていたから、反省はしてないようだった…。
ライを叱った後、リクは自分の専属執事であるクロッカスと共に書斎に来ていた。新しい書斎が出来たため、空いてる棚にライのエロ本を集めて、棚に入れていた。
「それにしても、すごい数ですね…」
「うん。余程、溜め込んでいたんじゃないかな?ライ、片付けるの苦手だから」
「そうですね。専属執事も最近になって、ようやく出来ましたし」
「オーキッドと言ったっけ。彼がついてからのライの部屋は見てないけど、片付いてた?」
「いえ。まったく…」
クロッカスの返答にリクは、またライに対して、怒りが再燃したようだ。同時にオーキッドにも。
そんな話をしながらも、二人は休めることなく、手を動かし続けていた。ライのエロ本にはまったく興味ないのか、すばやく本を棚に押し込む。しかも、本の大きさにきっちり分けながら。
写真集は、胸の大きい水着の女性が写っているものもあれば、上半身裸のマッチョな男性が写っているものもある。しかも、どちらもやたらヌード写真集ばかり。中には、普通の写真集もあったが、ヌード写真集に比べると、ニ割程度。他にも18禁の漫画も大量にあり、男女のもあれば、男性同士というものもあった。
「流石に漫画は、下の弟達の届かないところに置いた方がいいね。教育に良くないから」
「はい。高いところに置いた方がいいと思います」
それから30分くらいで、ライの本を全て棚に入れることが出来た。だが、このままではライの本とわからないまま、見つけてしまうことを恐れ、一目でわかる何かがないかとリクは考える。
「そういえば、使ってない暖簾が本館のどこかにあったよね?」
「ありましたね。取りに行ってきましょうか?」
「うん。お願い。僕も一旦、部屋に行ってくる。すぐ戻るけど。クロッカスは取りに行ったら、暖簾をかけておいて」
「わかりました」
二人は一度、書斎を出た。
数分後、暖簾を持ってきたクロッカスが戻り、ライの本があるところに暖簾をかけていた。かけ終えたところで、リクも戻って来た。
「暖簾、サイズ的に丁度良かったね」
「はい。これなら、ライ様の置き場と一目でわかります」
「そうだね。後はこれを貼って。……………よし。これでいいかな?」
「ええ、完璧です。リク様」
暖簾のかかる棚のところには、リクは部屋にあるパソコンで“ライ専用本棚 ”と打ち込んだ紙を貼った。そう。これを作るために一度、部屋に戻ったのである。ちなみにその下に“18才未満立入禁止”という文字も入れていた。
全てをやり終えた二人は、書斎を出た。
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