Little Vegetable
「お坊っちゃま」
「何だよ」
「嫌いな食べ物ってありますか?」
すると、お坊っちゃまは私から目線をそらした。これは…!
「……………ねェよ…」
「何ですか!その間は。嫌いな食べ物があるんですね!」
「ねェって!」
この態度、絶対にあるわ。本人がだめなら、ここは違う人に聞けばいいのよ!
「アガットさん。お坊っちゃまって、嫌いな食べ物は食べますか?」
「アリス!ずりぃぞ!アガット、言うなよ!」
「お坊っちゃまは、屋敷で出されたものは全部食べますよ」
意外だわ。てっきり嫌いな物は、まるまる残すと思っていたわ。そんなイメージだったんだけどな…。ちゃんと食べるんだ。
「ほらな。ねェだろ!」
「………」
アガットさんの返答にお坊っちゃまがホッとする。しかし、出されたものは食べると、アガットさんは言ったけど、嫌いな食べ物がないとは言ってないわよね。よし。ここは───
「アガットさん。本当のところは、どうなんですか?」
「実はお坊っちゃま、野菜はあまり食べないんですね。特ににんじんやピーマン辺り。屋敷で出された物は、他の皆さんに言われて渋々食べますが、外だと残しますからね。俺としては、外でもちゃんと食べて欲しいのですが」
「アガット!!」
「やっぱりあるじゃないですか!」
やっぱりお坊っちゃまにも嫌いな物があったのね。しかも、野菜。確かに好きそうには見えないわ。
「にんじん、おいしいじゃないですか」
「……おいしくねェ」
うーん、これは野菜の美味しさがまだわかっていないようね。そしたら、明日のお菓子は、いつもとは違う感じにしてみよう。
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