Playing with each Other
グ「それにしても、エドとライは仲良いよね。雰囲気的に真逆なのにさ」
カ「どちらも性には奔放だからね。タイプであれば、男女の見境もないし。気に入れば、即ベッドに連れて行くんだから」
エ「そんなことないよ。気に入らなければ、誘わないから」
カ「お前も口説いてる時点で誘ってるのか」
タ「そんなのスミレもじゃん。ま、スミレは女しか興味ねェけどさ」
グ「カルちゃんも入ったら?そこに入る資格もあるみたいだし」
カ「何で俺!?」
グ「三人と変わらないことしてるからだよ」
タ「サイテー」
カ「グレンだって…」
グ「ないよ。俺、まだ経験してないし」
エ「おやおや、意外だね」
カ「えっ!?」
グ「そんなに驚くこと?俺、そこまで性欲強くないんだよね。あ、興味ないわけじゃないよ。でも、誰とでもヤりたいわけでもないの。好きになった相手とならって感じだから」
タ「わかる!オレもそう!いつかはリコリスと…」
グ「気が合うね。スク」
カ「俺だって…」
グ「入って来ないで。カルちゃんは俺達とは違うから」
タ「そうだ、そうだー!」
カ「ひどい…」
エ「カル、こっちに入る?喜んで歓迎するよ」
カ「遠慮する!てか、グレンとタスク、俺に対してひどくない!?」
リ「ひどくないでしょ。現にカルロ兄さんは、遊んでいるんだから」
カ「リク!それにドラも」
いつの間にかリクとドラが来ていて、リクがカルロの向かい側の席に座り、ドラもリクの隣に座った。
ド「カルロは遊び人じゃん。それで自分は誠実とか思ってたわけ?ありえない。絶対ない」
タ「ドラ、容赦ねェな…」
グ「ほら、四対一だね?カルちゃん」
カ「俺の味方がいない…!」
エ「俺、味方だよ?」
カ「エドはちょっと…」
リ「選んでいる時点で、兄さんに味方はいないから」
カ「リク。俺に当たりが強くない?」
リ「………気のせいだよ」
カ「その間は何!?」
グ「おや。実の兄弟だから、カルちゃんに遠慮がないね。リクは」
リ「カルロ兄さんに遠慮なんて必要ないから」
カ「弟が冷たい…」
マ「……うん。冷たい」
ド「今の声ってさ…」
リ「下からしたような……あ」
テーブルの下にマシロが寝転んでいたので、リクがマシロに手を貸して、テーブルの下からイスに座らせた。
カ「マシロ!?」
エ「おや、また寝てたのかい?」
マ「気持ちいいから、つい…」
グ「ここに来る前に部屋を訪ねたのにいないから、どこ行ったかと思えば、ここにいたのか」
リ「マシロはどこでも寝るね。猫みたい」
タ「それならハルクは犬だな!」
カ「ハルクはそうだね。他にはブラッドやスミレも。タスクも犬っぽい」
タ「オレ、犬?リコリスが飼い主なら、飼われてもいいな!」
リ「ドラやフェリは猫だね」
ド「そうかも。人に指図なんかされたくねーし」
グ「ライもどちらかといえば、猫だろうね。あの気まぐれさは」
カ「ライは犬みたいなところもあるって」
エ「うーん、ラーは半々だよ。どちらか一方に当てはまらないし」
グ「エドが言うなら、そうかもね」
カ「グレンも猫だな」
グ「カルちゃんは犬っぽいよね!エドは猫」
カ「犬!?」
エ「ああ、確かにグレの言うとおり、カルは犬だよ。猫ではないよね。リィは……。どちらにも当てはまらないかな。ラーみたいに両方兼ね備えてもいないし」
グ「リクはどちらの要素がないよね」
リ「僕、どちらにも当てはまらないの?」
タ「リク兄が当てはまらねェなら…。じゃあさ、親父はどっちになんの?」
カ「親父か…」
エ「父さんは猫じゃないかな。自分が認めた人でないと従わない猫」
グ「いるよね。ご主人以外の命令に絶対に従わない猫。前に友達の家で見たことある。その時に、他の友達がその猫を触ろうとして引っかかれてたよ」
ド「うちなら、ライがやりそう」
リ「ライは嫌がると、余計に試したくなるからね。おじいさまは?」
カ「あの人も猫だよ。気まぐれなところあるし、周りを振り回すし。懐きそうで絶対に懐かない」
エ「そうだね。そんな感じだよね」
マ「……騒がしい声がする」
一同『え?』
その時、外でハルクが叫んでいた。その隣には、世話係のアリスもいる。
ハ「だから、何で今日のお菓子はねェんだよ!」
ア「ニ日前に食べたじゃないですか。お坊っちゃまに作ったわけじゃないのに、アガットさんに甘えて分けてもらって…。なので、今日はありません!」
ハ「だって、いつも食うのと違ェから!てか、今日の分も出せよ!」
ア「お坊っちゃまのは作ってません」
ハ「オレのはなくても、作ってあるだろ!他のヤツらと食べる分が。そのお前の分をオレに寄越せ!」
ア「何で私の分をあげなきゃいけないんですか!」
ハ「お前、最近太ったじゃん。それ以上、太らねェようにオレが代わりに食べてやるって言ってんの!」
ア「最低!デリカシーないですよ!お坊っちゃま」
ハ「は?どこがだよ!太ったから、太ったって言っただけだろ」
ア「だからって、ハッキリ言うことないじゃないですか!!絶っ対、お坊っちゃまにはあげません!」
ハ「む。くれるまで、お前から離れねェからな!」
ア「うっとうしいです!!それに私、仕事中なんです。邪魔しないでくださいよ」
ハ「お菓子、寄越せ!じゃなきゃ、ずっとお前の邪魔してやる!」
ア「今、ハロウィンじゃありません。あー、もうこうなったら、メイド長のところに行くしかない…」
ハ「アリス、待てー!」
アリスの後をハルクが追いかけ、二人はその場から立ち去っていく。
タ「相変わらずアリスの作るお菓子に執着してんな。ハルクのヤツ…」
エ「あれはどちらもでしょう?お菓子もアリスも」
グ「ここにあのやりとりを見て、笑いが止まらなくて、話せない人がいるよ」
リ「カルロ兄さん、二人の言い合いがツボに入るみたいで、すぐこうなっちゃうんだよ」
マ「おれも、あの二人のやりとりは面白いと思う…」
グ「えっ!?」
そこへ勢い良くドアが開く。入って来たのは、兄弟一の問題児のライである。
ラ「おまえら、集まって何話してんの?」
グ「おや、ライ。出かけなかったの?」
ラ「約束してたんだけど、気分がいまいち乗らなくてさ。やーめた!」
エ「数日前、あんなに楽しみにしていたじゃない?何かあった?」
ラ「LIMEでやりとりしてるうちに、女の反応が違ってきてさ。何かこいつとは合わねーってなって、ドタキャンした」
カ「え、それだけで?」
ラ「それだけで」
ド「最初から会う予定にしなきゃ良かったじゃん。バカ?」
ラ「最初はすげータイプだったんだぜ?でも、何か違った」
エ「ラー。その娘の名前は?」
ラ「名前…?確か……………ウナンテスニャ??」
グ「え?それは本当に名前なの??」
タ「名前もちゃんと覚えてねェわけ…」
マ「ウナンテスニャ…?」
タ「全然わかんねェ!」
リ「フランチェスカじゃなくて?」
ラ「そう!それ」
ド「リク兄。よくわかったね。今ので…」
カ「俺も今のはわかんなかったな」
タ「同じ血が流れてんのに…えらい違い!」
カ「わからないものはわからないの!」
その時、誰かの着信音が流れ出す。
マ「誰かのスマホが鳴ってる…」
カ「俺じゃないよ」
ド「オレも。部屋に置いてあるし」
リ「僕も」
タ「オレ、持ってるけど、サイレントにしてる」
グ「俺も違うよ。え?じゃあ、誰の?」
ラ「あ。おれだ!……クナンケスハからだ」
カ「フランチェスカだろ…」
エ「待ち合わせ場所にラーがいないから、連絡してきたんじゃない?」
ラ「かもしんねー。ちょっと電話してくる!」
そう言い、ライは出て行く。入れ代わるようにハルクとフェリが入って来た。
フ「皆、ここにいたんですかー?」
グ「フェリも出かけなかったの?」
フ「はい。今日は部屋で読書してましたー!」
ハ「てか、せっかくの休みなのに、誰も出かけずに野郎同士で話してたのかよ……っ、痛てて!」
タ「お前もそのうちの一人だろ?てか、見てたからな?お前がアリスに菓子を寄越せって、駄々こねてんの」
ハ「な…!?痛てェから、離してくれよ!」
タ「聞こえねェ。よく伸びんな、この頬っぺたは」
ハ「はあふふひー!(タスク兄!)」
カ「相変わらずタスクは、ハルクに容赦ないな」
タ「これでも可愛いがってんだぜ。実の弟だし」
カ「ハルクを見てると、俺がグレンやエドにされたことを思い出すよ。この二人には、本っ当に迷惑かけられたからね!」
グ「俺としては、同い年の兄弟がいるって聞いて嬉しかったんだよ!可愛がってたんだけど」
エ「俺もだよ。可愛がっていたよ」
カ「どこがだ!優しくて頼りになる兄は欲しかったけど、迷惑かける兄なんていらなかったし」
グ「ひどい、カルちゃん…」
エ「ひどいよ、カル…」
カ「泣き真似したって、全然心痛まないから!」
グ「……バレたか」
エ「カルも成長したね…」
ド「カルロに少しだけ同情するよ…」
リ「僕も少しは優しくしてあげようかな」
こうして、彼らは夕方まで話は続いた───。
【END】