Nampa

俺の名前はゾウゲ。
自分でいうのもなんだが、イケメンだ。
昔から女の子に囲まれてたし、よく告白もされた。まったく罪作りな男だぜ。

そんな時、ドルチェ家で執事を募集してたから、すぐに応募した。面接をして、見事採用された。当然だよな!俺、かっこいいし。
応募したのは時給が高いのもあるが、一番の理由は女の子が沢山いるからだ。しかも、ここで働くメイドの女の子達のレベルが高い。やっぱり付き合うなら、可愛い子がいいよな。ま、こんなにいるなら、誰かと付き合えるだろう。あわよくば、複数の女の子と遊びたい。
そんな欲望を胸に俺は色々な女の子に声をかけまくった。


しかし、声をかけても誰も靡かない。俺、イケメンだぞ?何で彼女が出来ないの??今までなら声かけたら、即出来てたのに…。



「ここのメイド達は、カルロ様やリク様、ライ様辺りを狙ってんだぞ。お前に靡くわけないじゃん」

「えー。俺、こう言っちゃなんだけど、イケメンだよ?」

「お前よりも上が沢山いるからな、ここには。しかも、顔だけじゃない。家柄に金もある。最強だろ」


確かにここの息子達、レベル高いんだよ!下のガキんちょ達も将来モテる顔してるし。旦那様があの顔だからって、一人くらいフツメンがいてもいいじゃん!息子達についてる執事達もレベルが高いし。

てか、メイドの女の子達さ、本当に長男に憧れてる子がすげー多くて、親衛隊まであるんだぜ。アイドルかよ!



「あー、付き合える子はいねーかな」

「いない、いない。女の子探すなら、他で探した方が絶対に早いって」

「俺はここで見つけたいんだよ!」


それから休憩が終わって、クールな感じの女の子に声をかけてみたのだが、「執事長がタイプだから無理」と断られた。ちぇー、年上好みかよ。
その後、何故かアンバーさんから容赦なく仕事を沢山増やされた。え、俺、何かやらかした?
そのことを同期に話したら、俺が声をかけた女の子がアンバーさんの妹だったらしい。アンバーさんの妹だったのか、あの娘。通りで可愛いわけだよ。

さ、次行こう!俺は過去は振り返らないんだ。





ん?あそこにいる子は…。
前を歩いているのは、確か同い年の子だよな。あの子は長男のファンじゃなかったはず。声かけよ!



「おつかれさま」

「あ、おつかれさま。…えっと、ゾウゲ、くん?」

「うん。ゾウゲだよ。ねぇ、次の休み、空いてる?俺とデートしない?」

「デート??」

「そう。俺と街に行ってさ……っ!!」


女の子を誘ってる途中、いきなり後ろから蹴飛ばされた。蹴飛ばされると思ってなかったから、俺は派手に廊下に転んだ。隣にいた女の子も驚いていた。



「だ、大丈夫!?ゾウゲくん…」

「平気…」


てか、誰だよ。後ろから蹴飛ばしたやつ。
振り返ると、ガキがいた。こいつ、ドルチェ家の息子の…ハル何とかってやつ。



「お坊っちゃま。いきなり後ろから蹴るのはだめです。ゾウゲくんに謝ってください!」

「は?ヤダ。何でオレがコイツに謝らなきゃいけねェの?」


このガキ、マジでムカつく。人を蹴飛ばすなって教わらなかったのかよ。



「しかも、仕事もしねェで、お前をナンパしてんだぜ?」

「それは…」

「オレの部屋に行くんだろ?なら、行こうぜ」

「え、待ってください。お坊っちゃま…!」


あのガキ、オレに謝らないまま、行きやがった。しかも、彼女まで連れて行かれたし。





更にその夜、執事長から呼び出しを受けて、注意をされた。あのガキ、チクりやがった!



「お前、アリスをデートに誘おうとしたんだって?バカだね…」

「アリス?あー、昼間の子か。誘ってる途中であのガキに邪魔されたんだよなー。でも、明日また誘うつもり」

「やめとけ。ただでさえ、アリスはハルク様のお気に入りになんだから。手を出したら、マジでクビになるぞ?」

「お気に入りなだけだろ。何でクビになんだよ?」

「知らないのか?アリスはハルク様の世話係だぞ?あとメイドで唯一、兄弟全員に気に入られてるし。きっと彼らの中ではお前はブラックリストに入ってるぞ」

「んなもん怖くもねーよ」



.
1/3ページ
スキ