Nightmare Ranger
「にゃははのにゃ。この世界の魚は我々のもの……にゃ」
猫耳を付けただけのボルドー・めーめー。
語尾の棒読み具合が人によってはドツボにハマるらしい。
その下にはよく知る面子がせっせと魚を袋に詰め込む。
端から見ると詰め放題にいそしむ猫耳集団だ。
──戸惑い逃げ惑う人々……混乱が生じる水産市場。
その時だ。
「待ちなさい! まだ値札がついていませんよ」
「そ、その声は!……にゃん」
空中回転を軽々こなし、着地。
だが、ポーズを決める前に顔が引きつる。
「くっ……生臭い……ッ」
ふらつく身体を必死に支える、うさレッド・アガット。
うさ耳とうさ尻尾を付け、執事服。
胸には懐中時計を着けていた。
「ふぅ。洗濯バサミがあって助かったよ」
そう言ってレッドに洗濯バサミを差し出す、うさピーチ・ドラ。
レッドと違うのは、何故かメイド服というところだ。
「ちょ! ブルーは俺だって!」
「ハルクは緑で我慢するんだ!」
二人でうさブルーのコスチュームを取り合っているのは、うさブルグリーン・カルロとハルク。
クールな設定が崩れないか心配ではあるが敵を前にして、大した余裕である。
「お前達、やめないか!」
その一声で二人の動きはピタリと止まった。
真のリーダーである、うさイエロー・アメジスト。
めーめーと睨み合う、うさイエロー。
「相変わらず眩しいヤツだ……にゃ。お前達、猫の可愛さを見せてやるんだ……ゴロニャー」
めーめーの命令に下っぱ共が襲いかかる。
「モーニングはパンに珈琲。そして、本。これに限りますね」
離れた喫茶店で他人事のように、うさマンダリン・リクが呟いた。
「……生臭くて力が……ッ」
「だから、洗濯バサミだって」
「プライドが……何故か許さないんです」
「うさぎ付けてあるんだから、可愛さアップすると思うんだけどな」
うさレッドとピーチは敵の攻撃を交わしながら、そんな話をしている。
「ちょっと、待てよ! まだ着替えどころか話が着いてねェ!」
「ハルク! 諦めて緑にするんだ」
「やだ! 蛙になるし!」
「いや、うさぎだから。それに……服が緑なだけで……」
「なら、カルロが着ればいいだろ!」
「美男は青が似合うんです」
うさブルグリーンはまだ、喧嘩中だが敵は容赦なく襲い来る。
「そこに魚が落ちている、さっさと拾え。む、こっちは死にかけている……早く水を!」
うさイエローは魚の救命に口だけ出し、敵を動かす。
ここだけ別世界化している。
「おまえら、おれがいねーとホントにダメだなー!」
その声に皆が空を見る。
「真のヒーローは最後に登場するもんだ!」
「……レッド!……じゃない、パープル!」
「セクシーびーむっ!」
服を広げながら、うさパープル・ライが降ってくる。
見せつけるかのように、超スロースピードで。
──その技の威力は絶大だった。
一人は鼻血による大量出血を起こしていた。
他、全員は酷い体調不良に。
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