Sports Festival 前




最近、お坊っちゃまの帰りは遅い。いつもなら16時頃には屋敷に帰って来るのに、今は19時を過ぎるのが当たり前になっていた。

今日は日曜日。
学園はお休み。朝からお坊っちゃまのところに行き、最近、帰りが遅くなったことについて、聞いてみた。



「お坊っちゃま。最近、帰って来るのが遅いですね」

「ああ。体育祭が近いから、クラスのヤツらと練習してんだよ」

「そうだったんですか?」

「競技の練習が主だな。それとは別に学年別のクラスリレーの選手にも選ばれたし。明日からは、朝の練習もやることになった」

「朝も…」

「そ。だから、体育祭が終わるまで、平日の朝はアリスが来る頃にはいないから、朝は来なくていいぜ」

「わかりました」


その後は、お坊っちゃまの部屋の掃除を二人でこなし、終わる頃にはお昼になった。お昼を食べに行くお坊っちゃまを見送ってから、私も休憩を取りに使用人用の食堂に向かった。丁度、仲の良いベゴニアとスマルトと会ったので、一緒に食べた。

私はそこで、お坊っちゃまの学園の体育祭が近いということを二人に話す。



「それにしても、ハルク様。朝は来なくていいと言ってるけど、夕方はアリスに部屋にいて欲しいのね」

「え?」

「帰りだって遅いなら、体育祭が終わるまで行かなくてもいいじゃない?」

「あー、言われてみれば…」

「おやつだって、アガットに頼んで渡してもらえばいいんだから」

「そうそう。体育祭の練習期間におやつがいるか、聞いたの。ほら、帰って来るのが、19時になるから。そしたら、「いらないなんて言ってねェし」ってむっとされた」

「ふふ、おやつも食べたいのよ。わかってあげて。アリス」

「夕食だってあるのに…」

「わかってないわね」

「ええ、わかってないわ」

「何が??」


私が尋ねても、ベゴニアとスマルトは、それ以上、何も言わなかった。

しかし、体育祭の練習か。朝早くから運動すれば、お昼前には、お腹が空くよね。私が中学生の時もクラスの男子がお腹空かせて、早弁してたの見たな。お坊っちゃまも成長期だし。うーん、ここはお弁当を作ってあげよう。そうと決まれば、食材を買って来ようかな!私、今日は買い出しの当番だし。ついでに買い物しちゃおう。



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