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ずっと本に集中していたら、私の体に誰かが寄りかかってきた。隣を見ると、カルロ様が眠っていた。反対側を見れば、お坊っちゃまが私の腰に抱きつくように眠っていた。

静かなはずだ。いつの間にか、二人共寝てるし。
カルロ様、無防備に寝ることあるのね。少し意外。


ん?というか、私、寝られないじゃない!二人共、横でくっつくように寝てるし。

気持ち良さそうに寝てる二人を起こすのも悪いし、このまま朝まで本を読もう。テーブルに何冊か本を置いてあるから、本棚には取りに行かずに済んでるしね。最近読んでなかったし、丁度いいわ。

別の本を読み始めようとしたら、突然、書斎のドアが開く。入って来たのは…



「あれ?アリスさん…」

「リク様!?」


リク様が何冊か本を抱えて、入ってきた。もしかしたら、本を置きに来たのかもしれない。



「あっ、もしかして、出られなくなったんですか?今日は確かセキュリティで閉まる日でしたから」

「はい。やむを得ず、ここで一晩を…」

「そうなんですね。ハルクはわかりますけど、カルロ兄さんがいるのは意外です」


リク様がクスリと笑う。その笑みに私の心は掴まれたのは言うまでもない。



「そうですね。いつの間にか寝てましたね、カルロ様は。寝る前まではお坊っちゃまと言い合ってたんですが」

「カルロ兄さん、あまり誰かの前で寝たりしないんですよ。そんな風に無防備に寝ることも滅多にありません。寝顔は尚更見せなくて…」

「そうなんですか?」

「はい。普段から眠りも浅いんです。普段なら誰か来るとすぐ起きるはずなのに全然起きませんから。きっとアリスさんの傍で安心してるんでしょうね」


カルロ様に安心されても嬉しくない!私の好きな人はあなたなんですと言いたいくらいだ。

……言えないけれど。

リク様が抱えていた本を棚にしまってく。その姿を私は見つめていた。



「ハルクもあなたの傍から離れようとしないですし」

「お坊っちゃまはお部屋で寝てくださいと言ったんですが、すぐに毛布を持って戻ってきちゃって…」

「二人共、本当にあなたを気に入ってるんでしょうね」


いやいや、私が気に入られたいのはリク様です。これも言えないよ!



「お邪魔してしまいましたね。僕は本を置いたら、また部屋に戻りますから」

「いえ、邪魔じゃないです!リク様とお話出来て、楽しかったので」

「僕も楽しかったです。アリスさんが今読んでる本もテーブルに置いてあるものは、ほとんどが僕の本なので」

「すみません。勝手に読んでしまって。ほとんどが読みたかったものばかりで、つい…」

「構わないですよ。今度、本の話が出来たらいいですね」

「はい。是非…!」

「それじゃあ、おやすみなさい」

「おやすみなさい」


そう言って、リク様は書斎から出て行ってしまう。

嬉しい。今度、リク様と本の話が出来るの!?今の夢じゃないわよね!嬉しくてこのまま寝たいくらいだわ。目も疲れてきたし。…ちょっと寝ようかな。


しかし、私はちょっとどころか朝まで眠っていたらしい。お坊っちゃまに起こされて、知った。



「お前、ちょっと無防備過ぎじゃねェ?」

「そうだね。本当に誰かに襲われちゃうよ?」

「いやいや、二人が私にくっつくように寝てたせいで、私、動けなくて、ちゃんと寝られなかったんですよ!」

「寝てたじゃん!」

「うん。何度も起こしても起きなかったね…」

「うっ…」


テーブルの上にあった本はすべて片づけられていた。まだ読んでる途中のも片づけられた。



「以後気をつけます。もうセキュリティも解除されてますから、私、部屋に戻りますね!」

「あ、アリス。今行かない方が…!」

「オレ、知らねェ…」


カルロ様の声も聞かず、自分の服を持ち、書斎を出た。階段を降りて、玄関に向かい、ドアを開ける。目の前に執事長の姿。げっ。

その後、執事長から2時間説教をされたのは言うまでもなかった。





【END】
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