Cultural Festival2


「こんにちは。アリスさん」

「え?コウく……っ!?」

「やっぱりそうだ。シンジュが言ってたんですよ。アリスさんが来てるって」


やっぱりバレてた!ということは、お坊っちゃまにも…。



「ああ。ハルクはまだ知らないです。シンジュは僕にしか話していませんから」

「……それなら良かったです」

「でも、来てくれて良かったですよ。ハルク、ずっと落ち込んでいましたから」


やっぱりそうだったんだ。悪いことしちゃったな。
それだけ話すと、コウくんは他のお客さんに呼ばれて行ってしまった。お坊っちゃま達の方は、まだ写真を撮っていた。だから、私もその様子をスマホで動画を撮った。お坊っちゃまが楽しそうに見えたから。

しっかし。
お坊っちゃまのことを見てる女の子は、意外にいるな。教室内でもスマホを向けている子達、結構いたし。お客やクラスメイトの女の子達に話しかけられていたけど、ほとんどの女の子の顔は少し赤かった。お坊っちゃまは、全然気づいてないみたいだけど。鈍いわよね。私から見ても、明らかにお坊っちゃまのことを…。



「どうかしました?」

「え?」


撮影が終わったのか、アガットさん達が席に戻ってきた。



「難しそうな顔をしていたので」

「いえ、お坊っちゃまって鈍いんだなって思いまして。好意がある女の子が赤い顔で話していても、まったく気づいてないようなので」

「え、アリスさん…?」

「それをあんたが言うんすかね…」

「確かにハルクも自分に関しては鈍いな。でも、アリスも人のこと言えねェじゃん?」

「私?」


何でそこに私が出るの!?わけがわからずにいると、タスク様とメイズは呆れ、アガットさんは苦笑いしていた。

それから飲み終わって、お坊っちゃまの教室を出ると、タスク様の休憩は終わる時間となった。



「さてと、オレ、そろそろ戻るね!皆、今日は来てくれて、ありがと!」

「もうそんな時間なんすね。俺達も楽しかったっすよ!」

「そうですね。俺もお坊っちゃまが楽しそうな姿を見られて良かったですし」

「私もです!」


タスク様と別れ、三人で帰ろうとしたら、タスク様に呼び止められた。



「アリス。ちょっと一緒に来てくんない?」

「え?」


何故か私だけ連れて行かれた。
アガットさんとメイズは一旦、屋敷に戻るらしく、アガットさんが迎えが必要ならば連絡してくださいと私に伝えると、メイズと共に行ってしまった。



「タスク様。何で私だけ…?」

「この後、ハルクが休憩なんだって。呼び出すから、オレの近くにいてよ」

「一体、何をするんですか?」

「秘密」


ニヤリと笑うタスク様を見て、私は思った。これはきっと良からぬことを考えていると───。





【to be continued…】
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