School Newspape+
数分後。
トイレを済ませ、店の外に出ると、お坊っちゃまが誰かと話していた。同じ学園の女の子のようだ。邪魔しちゃ悪いよね。アガットさんは、既に車に乗っていたから、私も車の方に向かった。
「お待たせしました。お坊っちゃまはお話中なんですね」
「はい。おそらくダンビュライト様ですね」
「ダンビュライト様??」
「ええ。パネットーネ家の御令嬢です。彼女の父親であるジルコン様は、昔からアメジスト様と親交がありまして、娘である彼女もたまに屋敷に遊びに来ていたことがあるんです。昔、面倒を見たこともあります。彼女も少し見ない間に大きくなりました」
昔を思い出してるのか、アガットさんは懐かしそうに言った。少しして、会話も終わったのか、ようやくお坊っちゃまが車の方に乗り込んできた。
「やっと、解放された…」
「あの子と仲良くないんですか?」
「ねェよ。顔合わせると、毎回声をかけてくんだけど、オレ、アイツと話すことねェもん。んで、オレがチョコレートの袋を持ってたから、すげー詮索された。アンデシンよりしつけーわ」
「すみません。私のを持たせたままでしたね…」
「ということで、一個もらうからな」
私の紙袋に入ってるチョコレートを一つ抜き取るお坊っちゃま。
「え!?何でですか!」
「お前がチョコを持たせてきたから、喧しいのに捕まったんだよ」
「だからって…」
「お二人とも、車を動かしますので、シートベルトはつけてくださいね」
アガットさんに言われ、慌ててシートベルトを装着した。
解せぬ。何でお坊っちゃまにチョコを取られなきゃいけないのよー。しかも、私が一番楽しみにしてた花の形の限定チョコ!自分の分しか買ってないから一個だけなのにー!その後、違うチョコにしてくださいと言っても、お坊っちゃまは拒否するし!また買いに行くしかない。
一週間後に用があったついでに一人で、再び買いに来た。そしたら、お目当ての限定チョコレートは完売していた。また来年までのお預けとなった。トホホ…。
【END】