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一ヶ月後。
例の学園新聞が発行された。いつもより売れ行きが良かったとアンデシンが話していたようだ。特に女子生徒が新聞をもらいに来るらしく、すぐになくなったと聞く。その後も印刷して配ったが、またすぐなくなったらしい。
オレも一部もらって少し読んだが、そんな面白いものはなかった。インタビューのとこは、読んでない。コウに聞いたら、オレとシンジュのタイプはカットされてたようだ。良かった。あれ、全部載せられてたら、たまんねェよな。
その新聞が発行されてから、ある問題があり、今、オレを密かに悩ませている。
「シンジュのせいで、やたら女子達がオレのところに来んだけど!」
シ「俺のところにも女の子達が来るよ?コウやハルクの好きなタイプについても聞かれたし」
「何でお前に聞いてくんだよ…」
シ「ハルク、一部女子には怖がられてるからね。いつも不機嫌な顔してるから、そのせいじゃない?だから、俺やコウに聞いてくるのもあるんだよ」
コ「僕も二人のことを聞かれたよ。何も言わなかったけどね。あとは、アンデシンさんが新聞に書いたからじゃないかな」
「新聞?」
コウがとある部分を指差す。そこにはこんなことが書かれていた。
“好きなタイプについて、もっと詳しく知りたいなら、彼らに尋ねてみると答えてくれるかもしれないですよ”
「アンデシンのヤツ!!余計なことを書きやがってー!」
頭にきたオレは、学園新聞をぐちゃぐちゃに丸め、ゴミ箱に投げ入れた。その様子にシンジュは楽しそうに笑う。何がおかしいんだよ!
シ「ハルクは、本当に見てて飽きないよね」
コ「シンジュ。このハルクを見て、よくそう言うことを言えるね…」
シ「そう?アリスさんが絡むと、尚更面白いよね」
コ「……。そういえば、ハルクはアリスさんに学園新聞は見せないの?」
「こんなの見せられるか!てか、今捨てたし」
シ「ふふ。そうだろうなと思って、俺、送っておいたよ」
「は、何を?誰に??」
シ「学園新聞を封筒に入れて、アリスさん宛に。今頃、届いてるんじゃないかな?」
「~~~っ!?」
それを聞いたオレは、スマホを取り出し、慌ててアリスに連絡する。今ならまだ休憩中なはずだ。数コール鳴った後に応答があった。
『どうかしました?お坊っちゃま』
「今日、お前宛にシンジュから届いた手紙は、封を開けないまま、捨てろよ?絶対に!」
『え?何でシンジュくんからの手紙が私宛に届くんですか?一体、何を送って来るんですか?』
「……何でって…?いいから、絶対開けんな!オレからはそれだけしか言わねェ!」
『そう言われると、気になりますよ。あ、ジョーヌさん。お疲れさまです……え。私に手紙?ありがとうございます!』
わあー!何でタイミング良く、アリスの元に渡るんだよ!
「アリス。いいから、それは絶対に開けるなよ!」
『もう開けてます。……学園新聞!わあー!懐かしい。私も昔、作ったことあります。流石にこんな立派なものではありませんでしたけど。私立だからか、普通の新聞と変わらないような作りなんですね!力が入ってるな…』
「読まなくていい!早く捨てろ!」
『ちょっと読みますから、切りますね。シンジュくんにお礼を伝えといてください。お坊っちゃま、午後の授業も頑張ってくださいね。それでは』
「だから、読むなって!!アリス、待てって!」
オレの声も聞かず、アリスはさっさと通話を切りやがった。どんな顔して、帰ればいいんだよ!
シ「コウ。学園新聞を読んでも、アリスさんはハルクの好きな人がわかると思う?」
コ「あれだけじゃ、わからないと思う。ハッキリ書いていても、まず自分とは考えないだろうし。それにアリスさんなら、「これ、私の知ってる人ですか?教えてください!」…って、ハルクに直接聞いてくるんじゃないかな」
シ「よくわかってるね。でも、俺も同意見」
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