Trump Trap

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数分後。
またもアリスとハルクの最下位争いになっていた。

ハルクがアリスの持っているカードを取ろうとした時、アリスが言った。



「お坊っちゃま、本当にそれでいいんですか?」

「な、なんだよ。急に…」

「いえ、気にならないならいいんですけど。ほほほ」

「……ったく」


すると、ハルクは取ろうとしたカードをやめて、別のカードを取ろうとした。



「あー!」

「もうさっきからなんだよ!」

「いえいえ!お気になさらず。好きな方を取ってください。お坊っちゃま…」


そう言われ、迷った末にハルクは最初に手に取ったカードを取った。そのカードは、ジョーカーだった。



「アリス、汚ねェ!そこまでするかよ、普通」

「汚くありません。これは勝負という駆け引きですから!おほほっ」

「そっちがそうなら、こっちも負けてらんねェ!」


またも負けるかと睨み合う二人。
そんな二人のやり取りを勝ち抜けた三人は、静観していた。いや、タスクとメイズは呆れていた。



「まだ終わらないんすかね、この最下位争い」

「あれから何回かババ抜きやったけどさ、いつもこの二人が最後まで残るんだよなー」

「アガくん、よくこれに付き合っていたっすね。飽きないんすか?」

「俺はお坊っちゃまが楽しそうならいいから」

「アガくんはそういう人でしたね。聞くまでもなかったっす」

「オレ、こんな風にずっと見てんの無理。絶対キレるわ」

「俺もっすよ、ターくん」


その後もトランプで色んなゲームをやってみたが、何をやっても最下位は必ずアリスかハルクの争いになったまま…。

トランプをやっていたら、夕食の時間になったため、お開きとなった。



「アガット」

「どうしました?お坊っちゃま」

「楽しかった!またトランプやりたい!」

「はい。やりましょう」

「……あと、さ」


何故か言いにくそうにしているハルク。アガットは彼を急かさずに話すのを待っていた。すると、ハルクはアガットに少し屈んでというから、言われた通りに屈む。



「(アリスに勝ちたいから、アイツのいない時に教えて欲しい)」

「わかりました」

「やった!」


喜ぶハルクを見て、アガットは嬉しそうに笑った。





【END】
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