Trump Trap

………
……


更に数分後。



「あーがり!」

「負けた!お坊っちゃまに負けるなんて…」


今度はハルクがアリスの持っていたカードを取り、自分の最後のカードと同じ数字を揃えた。アリスの手にジョーカーが残る。



「アリス、弱ェ!」

「む、今度は違うのやりましょう!次は…」

「どんなのでも勝ってやる!アリスになんか絶対負けねェ」

「私も次は負けませんから!」


バチバチと睨み合うアリスとハルク。そんな二人を見ながら、アガットは苦笑する。



(二人共、俺からしたら全部顔に出てるから、わかりやすいんだけどな。それは言わないでおこう)

そう思いながらも、トランプで遊ぶ三人。

しばらく三人がトランプに夢中で遊んでいると、タスクが部屋に入って来る。アガットは気づいたが、二人は白熱して気がついていない。



「三人で何してんの?トランプかー」

「はい。トランプしてるんですが…」


アガットが二人の方に視線を向け、つられたようにタスクも見る。



「7」

「アリス!ダウト!」

「ほほっ、違います!」

「くっそー!」


カードをめくると、ダイヤの7。それまでに積まれたカードがハルクの元に集まる。すぐに再開して3人で数字を言いながら、カードを出していく。



「4」

「お坊っちゃま、ダウト!」

「違ェし!」


めくられたカードは、スペードの4。今度はアリスの元に積まれたカードが集まる。



「やられたー!」

「ざまあ!」


ぎゃあぎゃあ騒ぐ二人にタスクは、呆れていた。



「醜い争いしてんなー、この二人…」

「10。さっきから何の勝負をやっても、こんな調子で…。あ、お坊っちゃま、ダウト!」

「うっ…」

「ビリ争い?」

「そうです。3。毎回どっちかがビリになって、もう一回と言い出して、二人共負けず嫌いで……アリスさん、ダウト!」

「うっ…」

「アガットが強いのか、この二人がめちゃくちゃ弱いのか。後者だろうな。んー。オレも暇だし、仲間に入れてもらおうかな。メイズも呼んでくるから、5人でやろう。ちょっと待ってて」


そう言い、一度部屋を出たタスクは、すぐに自分の専属執事であるメイズも連れて戻って来た。



「連れて来たよー!」

「アガくん。ターくんから全勝してるって聞いたっすよ」

「メイズ。そんなんじゃ…」


二人が戻る頃にダウトも勝負がついたらしい。一位は安定のアガット。アリスとハルクは、持ち札の枚数で勝敗が決まる。



「勝った!」

「たった一枚差で…!悔しい!」


喜ぶハルクと項垂れるアリス。さっきからどちらかが勝った負けたと交互に騒いでいた。しかし、どちらも一度もアガットには勝てていない。全て負けているのである。



「次は何をしましょうか?」

「はいはーい。次からオレ達も参加しまーす!」

「え?」

「いつの間に…」


タスクとメイズの姿を見て、ようやく気がつく二人。ゲームに夢中で気づいてなかったらしい。似た者同士である。



「この人数なら、色々出来るっすよ?大貧民、ブラックジャック、ポーカーとか」

「うーん。……よし。最初はババ抜きにしよう!」

「了解っす」


メイズがジョーカーを入れて、集めたカードを何回かきってから、全員の前にカードを配り始めた。

5人で始めたババ抜き。
さて、勝敗は?



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