Alice swap Ⅲ(後)




「お坊っちゃま」


そこへ誰かが部屋に入って来た。
振り向いて見ると、ハルクの専属執事の彼だ。一見、おとなしそうな印象だが、専属執事の中では一番強いらしい。

ママのお気に入りだった人の子供。
髪色と目の色は少し父親とは違うようだが、同系色だ。この人の目もキレイだわ。



「……え…っ」

「アガット…」

「何してるんですか!?」


ベッドにいるあたし達を見て、彼はかなり驚いていた。そんな驚くこと?まだ服すらも脱いでないのに…。



「何って、これからベッドで遊ぶだけよ?」

「ベッドで遊ぶ!?だめです!お坊っちゃまにはまだ早いです!!」


そう言って、あたしとハルクを引き離す。
意外に力あるのね。そう思っていたら、彼はあたしに言った。



「アリスさん、制服はちゃんと着てください」

「この制服、息苦しくて。脱いじゃだめ?」

「ダメです!!」


怒られちゃった。渋々、制服を着直す。
リボンを結ぶの面倒だなー。結ばずにそのままでいたら、執事の彼が結んでくれた。



「……これでよし。もう取っちゃダメだよ?」

「だめなの?」

「終わるまでは、ちゃんとつけるの。終わったら、外していいから。それまでは外さないように。ね?」


そう言って、彼は笑った。その笑い顔は、写真にあった彼と同じ。親子だから、似てるのは当然か。
だが、執事の彼はすぐに我に返り、謝ってくる。



「あ、すみません。つい弟達にするように言ってしまって…」

「……別に構わないわ」


随分、年下の扱いに慣れてるのね。あたしには兄や姉はいないけど、この人が兄ならば、ブラコンにもなりそうね。

でも、兄だとヤれないから、やっぱり嫌。



「名前、何だっけ?」

「名前??…俺のですか?」

「そう。度忘れしちゃったから、教えて」

「アガット・スノーホワイトです」


彼の名前を覚えた。
それにしても、スノーホワイトか。白雪姫と同じ名前ね。でも、この人に似合ってる。

ママには悪いけど、あたしも狙おうかな。ちょっと興味が出てきたから。この人もコーラル・スノーホワイトみたいな反応するのかしら?可愛く啼いてくれるかな。



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