Christmas
数日後。
クリスマスパーティーを終えて、少しとっておいたケーキを持って、部屋に帰ってきた。
あんなに食べたがっていたから、明日、お坊っちゃまのところに持って行ってあげよう。
これで少しは喜んでくれるといいけど。
その時、窓に何か当たる音がした。
気のせい?
そう思っていたら、再度聞こえる。何だろう?カーテンを開けて、窓の外を見ると。
「お坊っちゃま!?」
「ここ開けて!」
「えぇ…」
「早く!」
私は急いで窓を開けると、お坊っちゃまは部屋に入って来た。彼を部屋に入れると、窓を閉めて、お坊っちゃまが履いていた靴を預かる。
「本当に来たんですね…」
「お前が食べたいなら来いって言ったんだろ」
「そうなんですけど。本気で来るとは思わな…」
そうだった。
お坊っちゃまはお菓子に関しては、執念があった。すっかり忘れてたわ…。
「お坊っちゃま。いつから待ってたんですか?」
「わかんねェ」
手を触るとかなり冷たい。一体、いつから外にいたのよ。この子は…。
私はベッドから毛布を取ると、それをお坊っちゃまの体にかけた。
「もう風邪引いたら、どうするんですか…」
「引かねェし」
「ちょっと待ってください。すぐ用意しますから」
温かい飲み物を用意してから、残しておいたケーキをお坊っちゃまに出してあげた。
すると、お坊っちゃまは嬉しそうな顔でケーキをペロリと平らげた。
「どうでしたか?」
「うまかった!」
本当に嬉しそうに食べてたもの。見てるこっちも作った甲斐があったわ。
ケーキを食べた後、しばし部屋でお坊っちゃまとお喋りをしていた。が、そろそろ部屋に帰さないとまずい。
「お坊っちゃま、そろそろ部屋に戻らないといけませんね。帰れます?」
「……」
「お坊っちゃま?」
どうしたんだろう?急に黙っちゃった。
もしかして、お腹とか壊しちゃったのかな?
「あっち、23時になると鍵が閉められるんだよ」
「え?今何時…」
時計を見ると、23時半過ぎ。……って、もうそんな時間!?
「どうするんですか!?」
「ここで寝る」
「いや、ここ私のベッドしかないんですけど」
「それでいい」
あんな広いベッドで寝てる人が使用人用の狭いベッドで寝られるわけないでしょ。
でも、今更布団部屋から持ってこられないし。誰かにバレたら、どう説明すれば…。
「仕方ありません。今日は私の部屋に泊めますが、明日の朝に早めに部屋に戻りましょう。あ、寝る前に歯磨きしないといけないですね」
確か歯ブラシのストックがあったはず。このまま歯磨きしないで寝たら、虫歯になっちゃうし。それはだめよね。
お坊っちゃまを歯磨きさせ、次は服だ。
というか、私の部屋に当然、子供用の服などない。代わりに着せられる服はあったかな?
「よくこんな薄着で外にいましたね」
「これくらい平気だって」
「平気じゃないです。取りあえず私の服を着てください」
持っていた赤色のパーカーを着せる。
以前、軽い気持ちでこれを買ったのだが、私には赤いパーカーは似合わず、ずっとしまいこんでいたものである。
「うーん、やっぱり少し大きいですね」
「おっきいな…」
私でも少し大きかったけど、お坊っちゃまが着てみると、更に大きいようだ。膝辺りまであるし。腕は捲らないと、手が出ないし。違うのにした方が?でも、他にお坊っちゃまが着ても合うものがあったかな。
…うーん、ない。
「……」
「あれ?どうしました。お坊っちゃま。やけに静かですけど。嫌なら脱ぎます?」
「ううん、着てる…」
おとなしいな。
もしかして、もう眠いのかもしれない。0時近いんだし。
「さ、明日は朝早くに戻らないといけないですからもう寝ますよ!」
「うん…」
あ、私、お風呂に行かないと。流石にこのままじゃ寝れない。……お坊っちゃまもいるし。
「私、ちょっとお風呂に行ってきますから。お坊っちゃまは先にベッドに入っていいですよ。なんなら先に寝ても構いませんし」
「わかった…」
私は準備してから、急いでお風呂に向かった。
数十分後。
慌てて部屋に戻ると、お坊っちゃまはベッドの上に足を伸ばして座っていた。
「あれ?寝てなかったんですか?」
「……待ってた」
「寝てても良かったんですよ。眠かったはずじゃ」
「大丈夫…」
普段もこれくらい聞き分けが良かったらいいのに。
私はお坊っちゃまを促して、ベッドの中に入れる。
「さ、布団に入ってください。お坊っちゃま」
「狭い…」
「普通の人はこれくらいですからね」
普段のベッドに比べたら、かなり狭いだろう。でも、今日だけだから我慢はして欲しい。電気を消して、私もベッドに入る。
「もう少しこっちに来ないと落ちますよ」
「…うん」
やっぱりくっつかないと落ちちゃう。いくら子供とはいえ、このベッドに二人は狭かった。それにさっきからお坊っちゃまはやけにおとなしいし。やっぱり眠いのかな?
「お坊っちゃま?」
「……」
返事がない。もう寝ちゃったのかな。
彼の頭を優しく撫でる。うわっ、思ったよりも髪が柔らかい。サラサラだ。下手したら、私よりもサラサラなんじゃないかな。……なんて羨ましい。
「……おやすみなさい」
お坊っちゃまにそう呟き、私も瞼を閉じた。
.
クリスマスパーティーを終えて、少しとっておいたケーキを持って、部屋に帰ってきた。
あんなに食べたがっていたから、明日、お坊っちゃまのところに持って行ってあげよう。
これで少しは喜んでくれるといいけど。
その時、窓に何か当たる音がした。
気のせい?
そう思っていたら、再度聞こえる。何だろう?カーテンを開けて、窓の外を見ると。
「お坊っちゃま!?」
「ここ開けて!」
「えぇ…」
「早く!」
私は急いで窓を開けると、お坊っちゃまは部屋に入って来た。彼を部屋に入れると、窓を閉めて、お坊っちゃまが履いていた靴を預かる。
「本当に来たんですね…」
「お前が食べたいなら来いって言ったんだろ」
「そうなんですけど。本気で来るとは思わな…」
そうだった。
お坊っちゃまはお菓子に関しては、執念があった。すっかり忘れてたわ…。
「お坊っちゃま。いつから待ってたんですか?」
「わかんねェ」
手を触るとかなり冷たい。一体、いつから外にいたのよ。この子は…。
私はベッドから毛布を取ると、それをお坊っちゃまの体にかけた。
「もう風邪引いたら、どうするんですか…」
「引かねェし」
「ちょっと待ってください。すぐ用意しますから」
温かい飲み物を用意してから、残しておいたケーキをお坊っちゃまに出してあげた。
すると、お坊っちゃまは嬉しそうな顔でケーキをペロリと平らげた。
「どうでしたか?」
「うまかった!」
本当に嬉しそうに食べてたもの。見てるこっちも作った甲斐があったわ。
ケーキを食べた後、しばし部屋でお坊っちゃまとお喋りをしていた。が、そろそろ部屋に帰さないとまずい。
「お坊っちゃま、そろそろ部屋に戻らないといけませんね。帰れます?」
「……」
「お坊っちゃま?」
どうしたんだろう?急に黙っちゃった。
もしかして、お腹とか壊しちゃったのかな?
「あっち、23時になると鍵が閉められるんだよ」
「え?今何時…」
時計を見ると、23時半過ぎ。……って、もうそんな時間!?
「どうするんですか!?」
「ここで寝る」
「いや、ここ私のベッドしかないんですけど」
「それでいい」
あんな広いベッドで寝てる人が使用人用の狭いベッドで寝られるわけないでしょ。
でも、今更布団部屋から持ってこられないし。誰かにバレたら、どう説明すれば…。
「仕方ありません。今日は私の部屋に泊めますが、明日の朝に早めに部屋に戻りましょう。あ、寝る前に歯磨きしないといけないですね」
確か歯ブラシのストックがあったはず。このまま歯磨きしないで寝たら、虫歯になっちゃうし。それはだめよね。
お坊っちゃまを歯磨きさせ、次は服だ。
というか、私の部屋に当然、子供用の服などない。代わりに着せられる服はあったかな?
「よくこんな薄着で外にいましたね」
「これくらい平気だって」
「平気じゃないです。取りあえず私の服を着てください」
持っていた赤色のパーカーを着せる。
以前、軽い気持ちでこれを買ったのだが、私には赤いパーカーは似合わず、ずっとしまいこんでいたものである。
「うーん、やっぱり少し大きいですね」
「おっきいな…」
私でも少し大きかったけど、お坊っちゃまが着てみると、更に大きいようだ。膝辺りまであるし。腕は捲らないと、手が出ないし。違うのにした方が?でも、他にお坊っちゃまが着ても合うものがあったかな。
…うーん、ない。
「……」
「あれ?どうしました。お坊っちゃま。やけに静かですけど。嫌なら脱ぎます?」
「ううん、着てる…」
おとなしいな。
もしかして、もう眠いのかもしれない。0時近いんだし。
「さ、明日は朝早くに戻らないといけないですからもう寝ますよ!」
「うん…」
あ、私、お風呂に行かないと。流石にこのままじゃ寝れない。……お坊っちゃまもいるし。
「私、ちょっとお風呂に行ってきますから。お坊っちゃまは先にベッドに入っていいですよ。なんなら先に寝ても構いませんし」
「わかった…」
私は準備してから、急いでお風呂に向かった。
数十分後。
慌てて部屋に戻ると、お坊っちゃまはベッドの上に足を伸ばして座っていた。
「あれ?寝てなかったんですか?」
「……待ってた」
「寝てても良かったんですよ。眠かったはずじゃ」
「大丈夫…」
普段もこれくらい聞き分けが良かったらいいのに。
私はお坊っちゃまを促して、ベッドの中に入れる。
「さ、布団に入ってください。お坊っちゃま」
「狭い…」
「普通の人はこれくらいですからね」
普段のベッドに比べたら、かなり狭いだろう。でも、今日だけだから我慢はして欲しい。電気を消して、私もベッドに入る。
「もう少しこっちに来ないと落ちますよ」
「…うん」
やっぱりくっつかないと落ちちゃう。いくら子供とはいえ、このベッドに二人は狭かった。それにさっきからお坊っちゃまはやけにおとなしいし。やっぱり眠いのかな?
「お坊っちゃま?」
「……」
返事がない。もう寝ちゃったのかな。
彼の頭を優しく撫でる。うわっ、思ったよりも髪が柔らかい。サラサラだ。下手したら、私よりもサラサラなんじゃないかな。……なんて羨ましい。
「……おやすみなさい」
お坊っちゃまにそう呟き、私も瞼を閉じた。
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