School Trip (中)
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さっきまで館内を見学して、一緒に回るガイドの話を聞きながら、回っていた。レポートを書かないといけないから、クラスメイト達のほとんどがメモを取りながら、聞いていた。オレはメモを取ることはせず、持っていたボイスレコーダーを胸ポケットに入れて、録音していた。きっとメモを取りながら、録音してるヤツもいるだろう。
最初はオレもメモを取るつもりでいたけど、リク兄やカルロがボイスレコーダーで録音しといて、後でまとめる方が楽だと教えてくれたからだ。どうやらそこは昔から変わってないらしい。少しは変えろよ。
それが終わった今は、少しだけ観光出来る時間で、売店があったから、おみやげコーナーを見ていた。
そもそもおみやげって、何をあげればいいんだ!?お菓子?物?お菓子は食べたらおしまいだよな。物だとずっと残るけど、嫌がられるのは避けてェし。
アリスにあげるなら、やっぱり喜んでもらいてェし。リク兄はきっと見つかると言ってくれたけど、見ててもわかんねェ。こういう時に相談が出来るヤツとかもいねェし。あー!
仕方ねェ。今は見るだけにしとくか。まだ数日はあるだろうし。ここで買うのは止めて、店内を見て回るだけにした。
「ドルチェ」
呼ばれて、振り返ると、同じクラスのシンジュ・ダイヤモンドがいた。
コイツとは今年になって、一緒のクラスになったが、あまり話したことはない。ダイヤモンドは基本的にクラスの中心にいるようなヤツで、誰に対しても分け隔てなく、普通に話す。そのせいなのか、男女共に人気がある。外見も整ってるし、成績や運動も優秀だからな。
そういや、うちにも似たようなのがいんな。学園ではそんな感じだったとリク兄から聞いたことがある。家ではすげーうざったいのに。でも、リク兄が言うんだから、嘘じゃねェだろう。
「何?ダイヤモンド」
「今そこに落ちていたんだけど、これはお前の?」
そう言って、差し出されたのは黒の財布。しかも、見覚えのある。ポケットを探ると、入れてあった財布がない。オレのだ!危ねェ。失くすとこだった!金よりもこの財布をなくした方が、しばらく立ち直れなくなる…!
「それ、オレの。ありがとな…」
「いえいえ」
財布を受け取る。
だが、何故かダイヤモンドはオレから離れない。なんだ?まだ何かあんのか?
「ドルチェ。もしかして、その財布は誰かからもらった?」
「そうだけど…」
「それをくれたの?女の人だろ?」
「!?」
え、何でわかんの?コイツ。オレ、学校にいるヤツらに話したことねェのに…。警戒しながら、ダイヤモンドを見ると、何故か笑い出す。
「あはは。ドルチェ、顔に出やすいな!」
「誰にも話してねェことをいきなり言われたら、驚くだろ。普通…」
「ごめん、ごめん。ドルチェが持ってる財布、俺も持ってるからさ。ほら、これ」
そう言って、ダイヤモンドが見せてくれた財布も色は違うものの同じやつだった。オレは黒だけど、ダイヤモンドのは紺色。
「本当だ」
「俺も姉貴から今年の誕生日にもらったから。まさか、同じ財布を持ってるヤツがいるとは思わなくてさ…」
「オレは世話係してくれてるヤツからもらった」
そう。この財布は今年の誕生日にアリスからもらったもの。
“おめでとうございます!お坊っちゃま、これは私からの誕生日プレゼントです”
“ありがと………これ、財布?”
“はい。街に出かけた時にお店で一目惚れしたお財布があって、自分のを買おうとしたんです。そしたら、男性用もあったんですよ。見てみたら、お坊っちゃまにも良いんじゃないかと思いまして…。少し大人っぽいですけど、来年中学生になりますからね。だから、一緒に買っちゃいました!”
確かにオレが持つには少し大人向けだけど、気に入ってる。アリスがくれたから、余計に…。色は違うけど、お揃いだ。
「へぇ。ドルチェ、その人のこと好きだろう?」
「そ、れは…」
「あるだろ?その財布見ながら、見たことのない優しい顔してたし。ドルチェ」
「してねェよ!」
ダイヤモンド、オレをからかおうとして、ニヤニヤしてるし。こういうヤツ、だったのか?
うわっ、オレの苦手なタイプじゃん。
「シンジュ。ここにいたんだ」
「コウ」
そこへ同じクラスのコウ・カイヤナイトが現れた。よくダイヤモンドと一緒にいて、幼馴染みとか言ってたか?ダイヤモンドとは違い、クラスの中心にいるようなタイプではないが、優しく穏やかな性格からか、女子からの人気は高い。一見、おとなしそうに見えるが、思ったことはハッキリと言うから、いじめられたりはしていない。運動は少し苦手みたいだが、成績は良い。オレとは反対だな…。
「あれ?ドルチェくんも一緒なんだ。珍しいね」
「ドルチェの財布を拾ったんだよ。しかも、俺と同じのだったから」
「そうなの?」
「コウ、聞いてくれよ。ドルチェの財布、実は…」
「ダイヤモンド、余計なこと言うな!財布、拾ってくれてありがとな!」
そう言って、オレはその場から逃げた。
あ、みやげ見るつもりだったのに、今更あそこに戻れるかよ!
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さっきまで館内を見学して、一緒に回るガイドの話を聞きながら、回っていた。レポートを書かないといけないから、クラスメイト達のほとんどがメモを取りながら、聞いていた。オレはメモを取ることはせず、持っていたボイスレコーダーを胸ポケットに入れて、録音していた。きっとメモを取りながら、録音してるヤツもいるだろう。
最初はオレもメモを取るつもりでいたけど、リク兄やカルロがボイスレコーダーで録音しといて、後でまとめる方が楽だと教えてくれたからだ。どうやらそこは昔から変わってないらしい。少しは変えろよ。
それが終わった今は、少しだけ観光出来る時間で、売店があったから、おみやげコーナーを見ていた。
そもそもおみやげって、何をあげればいいんだ!?お菓子?物?お菓子は食べたらおしまいだよな。物だとずっと残るけど、嫌がられるのは避けてェし。
アリスにあげるなら、やっぱり喜んでもらいてェし。リク兄はきっと見つかると言ってくれたけど、見ててもわかんねェ。こういう時に相談が出来るヤツとかもいねェし。あー!
仕方ねェ。今は見るだけにしとくか。まだ数日はあるだろうし。ここで買うのは止めて、店内を見て回るだけにした。
「ドルチェ」
呼ばれて、振り返ると、同じクラスのシンジュ・ダイヤモンドがいた。
コイツとは今年になって、一緒のクラスになったが、あまり話したことはない。ダイヤモンドは基本的にクラスの中心にいるようなヤツで、誰に対しても分け隔てなく、普通に話す。そのせいなのか、男女共に人気がある。外見も整ってるし、成績や運動も優秀だからな。
そういや、うちにも似たようなのがいんな。学園ではそんな感じだったとリク兄から聞いたことがある。家ではすげーうざったいのに。でも、リク兄が言うんだから、嘘じゃねェだろう。
「何?ダイヤモンド」
「今そこに落ちていたんだけど、これはお前の?」
そう言って、差し出されたのは黒の財布。しかも、見覚えのある。ポケットを探ると、入れてあった財布がない。オレのだ!危ねェ。失くすとこだった!金よりもこの財布をなくした方が、しばらく立ち直れなくなる…!
「それ、オレの。ありがとな…」
「いえいえ」
財布を受け取る。
だが、何故かダイヤモンドはオレから離れない。なんだ?まだ何かあんのか?
「ドルチェ。もしかして、その財布は誰かからもらった?」
「そうだけど…」
「それをくれたの?女の人だろ?」
「!?」
え、何でわかんの?コイツ。オレ、学校にいるヤツらに話したことねェのに…。警戒しながら、ダイヤモンドを見ると、何故か笑い出す。
「あはは。ドルチェ、顔に出やすいな!」
「誰にも話してねェことをいきなり言われたら、驚くだろ。普通…」
「ごめん、ごめん。ドルチェが持ってる財布、俺も持ってるからさ。ほら、これ」
そう言って、ダイヤモンドが見せてくれた財布も色は違うものの同じやつだった。オレは黒だけど、ダイヤモンドのは紺色。
「本当だ」
「俺も姉貴から今年の誕生日にもらったから。まさか、同じ財布を持ってるヤツがいるとは思わなくてさ…」
「オレは世話係してくれてるヤツからもらった」
そう。この財布は今年の誕生日にアリスからもらったもの。
“おめでとうございます!お坊っちゃま、これは私からの誕生日プレゼントです”
“ありがと………これ、財布?”
“はい。街に出かけた時にお店で一目惚れしたお財布があって、自分のを買おうとしたんです。そしたら、男性用もあったんですよ。見てみたら、お坊っちゃまにも良いんじゃないかと思いまして…。少し大人っぽいですけど、来年中学生になりますからね。だから、一緒に買っちゃいました!”
確かにオレが持つには少し大人向けだけど、気に入ってる。アリスがくれたから、余計に…。色は違うけど、お揃いだ。
「へぇ。ドルチェ、その人のこと好きだろう?」
「そ、れは…」
「あるだろ?その財布見ながら、見たことのない優しい顔してたし。ドルチェ」
「してねェよ!」
ダイヤモンド、オレをからかおうとして、ニヤニヤしてるし。こういうヤツ、だったのか?
うわっ、オレの苦手なタイプじゃん。
「シンジュ。ここにいたんだ」
「コウ」
そこへ同じクラスのコウ・カイヤナイトが現れた。よくダイヤモンドと一緒にいて、幼馴染みとか言ってたか?ダイヤモンドとは違い、クラスの中心にいるようなタイプではないが、優しく穏やかな性格からか、女子からの人気は高い。一見、おとなしそうに見えるが、思ったことはハッキリと言うから、いじめられたりはしていない。運動は少し苦手みたいだが、成績は良い。オレとは反対だな…。
「あれ?ドルチェくんも一緒なんだ。珍しいね」
「ドルチェの財布を拾ったんだよ。しかも、俺と同じのだったから」
「そうなの?」
「コウ、聞いてくれよ。ドルチェの財布、実は…」
「ダイヤモンド、余計なこと言うな!財布、拾ってくれてありがとな!」
そう言って、オレはその場から逃げた。
あ、みやげ見るつもりだったのに、今更あそこに戻れるかよ!
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