School Trip (中)






アリスに言われたから、修学旅行に行くことにしたけど、早くも帰りてェ。アリスとアガットにおみやげをあげるって思わなかったら、絶対に来なかった。



「ちょっと聞いてるの!ハルク」

「いちいちうっせェな。マーズは」


キー、キーと高い声でオレに怒るこの女は、同じクラスのカナリー・マーズ。親父の仕事関係からか、昔から顔を合わせていたし、学園でも一年からずっと同じクラスだった。
正直、中学では違うクラスになりてェ。コイツ、オレと目が合う度に文句ばっか言ってくるんだぜ?それしか話ねェのかよってくらいに。たまに顔が赤い時もあるみたいだけど、熱でもあるのかとも思ったが、あれは違う。怒ってばっかいるからだな。



「その態度は何よ!あなたは普段から…」

「あー、旅行の時くらい勘弁してくれよ」

「ハルク!まだ話は終わって……もう!」


いつまでも小言を聞いてるのがイヤになり、オレは止まっているバスに乗り込み、適当な席に座る。
アイツ、オレの顔を見る度に何か言わなくちゃ気が済まねェのかよ。修学旅行くらい見逃せよな…。
到着するまで、まだあるし、寝るか。



「でさ、そいつがさ~」
「えー、マジ!?」
「ありえねー!」


「うんうん、それで?」
「もう急かさないでよ!それでね…」
「え!本当に!?」


うるせェ。周りの話し声がうるさくて、全然寝られェ。こんな騒がしい中で寝られるか!修学旅行を楽しみにしてたのはわかるけど、もう少し静かにしてくれよ。
ここにアリスがいたら……って、仮に同い年でも身分違うから無理か。アイツの話す修学旅行とオレの修学旅行は全然違ってるしな。何かあっちの方が楽しそうに感じた。


はー。むなしくなってきた。
席、移動しよ。オレは後ろの方を見た。一番後ろに空席があるのを見て、急いでそちらに向かった。

まだ全員が席についてないが、後ろの方はさっきオレがいたところよりは静かだった。おとなしいヤツらが多かったのもあるからだろう。これなら寝られる。


修学旅行始まったばかりなのに、散々だ。
マーズはいちいち注意してくるし、ぎゃあぎゃあ騒ぐヤツらばっかだし。
マーズに捕まる前は、他のクラスのよくわかんねェ女子達から、一緒に写真を撮って欲しいとか言われるし。中には自由行動を一緒に回って欲しいとか言われたりもした。流石に断ったけど。

体育祭から、やたら女子から話しかけられることが増えたんだよな。告白とかはねェけど、一緒に帰ろうとかうちに遊びに来ない?と言われたこともあった。マジなんなんだよ…。


やっぱ来るんじゃなかったと早くも後悔している。

取りあえず到着するまでは、バスの中で寝ることにした。




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