Christmas




あと数日経てば、クリスマス。
私は使用人の仲間達とクリスマスパーティーをする予定だ。

皆、何かしら料理を一品は持ち寄ることになった。私は前日が早上がりだから、ケーキでも作ろうとは考えている。やっぱりクリスマスだから、それっぽいのを作ろうかな。ブッシュ・ド・ノエルとか。



「クリスマス?うちは何もやらねェよ」

「そうなんですか?」


ふとお坊っちゃまにこの屋敷でクリスマスは何かやるのかを聞いてみたら、何もやらないらしい。この屋敷であの兄弟がクリスマスパーティーをやるとは思えなかったけど、正直想像出来ないし。

でも、少しだけ寂しい気がした。



「私は使用人の仲間達とクリスマスパーティーをやるんですよ。皆、料理一品は持って行かないとなので、ケーキを…」

「ケーキ作んの?」

「作りますよ。何のケーキにしようかと思っ…」


しまった。
話してから気づいた。お坊っちゃまの目が明らかに輝いていることに…。



「オレもそこに行きたい!ケーキ!!」

「お坊っちゃまは、使用人の屋敷には来てはいけませんから」

「別にいいだろ!オレが行ったって…」


私が怒られる。
こないだも執事長に注意を受けたんだから。「君が来てから、ハルク様は使用人の部屋がある棟に行き来するようになった」って。



「ケーキは別の日に作ってあげますから」

「嫌だ。絶対にそこで出すケーキとは違うヤツじゃん!オレもそっちがいい!」


するどい。何故わかったの?エスパーか。
仕方ない。こうなったら…。



「……わかりました。この条件がクリア出来たらいいですよ」

「え?」

「クリスマスの夜、誰にもバレずに私の部屋までやって来れたら、クリスマスケーキを食べてもいいです」


お坊っちゃまは私の部屋がどこにあるかわからないし、夜遅くにわざわざ部屋から出るわけないと考えて、こんなことを言ってしまったのだろう。

この時の私は、お坊っちゃまのことをかなり甘く考えていた。





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