Summer Story

ホラー映画が始まり、しばらく経った頃、私の中ではやっと面白くなってきたとも言える。
うわー!いいぞ!もっとやれー!テンションが上がっていると、私の体に何かが当たる。当たるというか、しがみついてきた。



「……っ!」

「(ちょっとお坊っちゃま。そんなしがみつかなくても)」

「……ひっ!」


映画に集中したいのに、隣にいるお坊っちゃまが私にしがみつき、離れないのである。

さっきまでは腕だったのに、今は私の腰回りに抱きついていて、画面を観ないようにしている。
冷房ついてるから暑苦しいとかはないけど、そんなに怖いなら、観なきゃいいのに…。



「ハルク、怖いなら部屋に戻る?送ってやるぞ」

「ヤダ。今更、一人で部屋に帰る方が怖ェよ!……っ!!他の映画はねェの!?」

「今はホラー映画しかないよ。ごめんね」

「お坊っちゃま、もう少し離れてもらえると…」

「ヤダ」


速攻で断られた。
その後も映画を観て、ひっ!小さな悲鳴をあげたり、半泣きになってたけどね。

流石にかわいそうに思えて、頭を撫でてあげた。



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