Summer Story
22時になる前。
リクが数本のBlu-rayを持って、シアタールームに来て、準備をしていた。そこへ風呂上がりのカルロが入ってくる。
「あれ?リクがシアタールームにいるのは珍しいね」
「そう?観たい映画があったから、夜にまとめて観ようと思って」
「だから、さっき入ってたのか。いつもはもっと遅くに入るのに。一人で観るの?」
「最初はそのつもりだったけど。帰って来た時にアリスさんと会って話してたら、流れで一緒に観ることになったんだ」
それを聞いて、カルロが驚きの声を上げる。
「え、アリスと?」
「うん。ボルドーにはちゃんと話してるよ。渋い顔されたけど、許可は下りたし」
「ボルドーの中でアリスはブラックリスト入りしてるからね。それで、一緒に何を観るの?」
「ここにあるものかな。アリスさんも観たいって言ってたものを持って来たけど」
置いてあるBlu-rayのソフト数本を見て、カルロは言葉を失う。
(え?全部ホラー映画、なんだけど。この二人、ちょっとズレてない??普通はもっと楽しめそうなコメディやラブロマンスとか観るんじゃないの?何でホラーなんだ。夏だから?いやいや、いくら男女で一緒に映画を観るのに、全部ホラー映画はないだろ…)
「リク、ホラー映画以外はないの?」
「ないよ。これ、全部大学の先輩から借りたやつだし」
「アリスは嫌がってなかったの?」
「ううん。アリスさんも観たかったけど、まだ観れてないって話だったし。だから、一緒に観るわけだけどね」
リクの話を聞いて、カルロはふと思う。
(この二人、何気にお似合いじゃないか?本の趣味とか合ってるし。きっと二人のことだから大した進展はないだろうけど。そうなると、あの暴れん坊がな)
すぐにアリス、アリスと呼ぶうるさい弟の顔が浮かぶ。ハルクがアリスの名前を呼ばない日はない。そんな日があったら、青天の霹靂だろう。
「リク。その上映会、人数が増えてもいい?」
「僕は構わないけど、誰を呼ぶつもりなの?」
「それはあとでのお楽しみ」
そう言い、カルロはシアタールームから出て行く。向かった先は自分の部屋ではなく、ハルクの部屋。専属執事のアガットはもう戻ったのか、姿はない。彼自身ももう寝ようとしてたらしく、ベッドの中にいた。
「ハルク。これから映画、観ない?」
「映画?カルロと?……ヤダ」
「ちなみに観るのはホラー映画だよ」
「余計に観たくねェよ!タスク兄と間違えてんだろ!!」
プンプンと怒るハルク。
兄弟の中で一番ホラー映画が大嫌いである。ちなみにタスクの方は嬉々としながら、ホラー映画を観るタイプである。次々と襲われてく登場人物達を笑ってみる。リコリスとは絶対に観ないが(リコリスに嫌われたくないからである)
「そっか。ハルクは観ないか。これからシアタールームでリクとアリスが観るみたいだから、誘ってあげたのに。わかった。伝えとくね」
「…えっ」
カルロは部屋を出ようとしたが、すばやくベッドからおりたハルクに腕を掴まれた。
「アリスもいんの!?てか、何でリク兄と…」
「帰って来た時に話の流れで一緒に観ることになったらしいよ?ホラー映画だから、ハルクに拷問の時間だろうしね」
「だから、アイツ、機嫌良かったのか」
ハルクが見てる前でもアリスの機嫌はかなり良かったらしい。リクと二人で映画観られることがよほど嬉しかったのだろう。
「オレも観る!」
アリスの名前を出せば、100%の確率でハルクは釣れる。例え、大嫌いなホラー映画でも。ついこないだ行った別荘の時でも普段なら絶対に行かない肝試しにも参加したのだから。
「じゃあ、22時にシアタールームだから」
「わかった!」
カルロが出て行くと、ハルクは急いで、パジャマから服に着替え始めた。
.
リクが数本のBlu-rayを持って、シアタールームに来て、準備をしていた。そこへ風呂上がりのカルロが入ってくる。
「あれ?リクがシアタールームにいるのは珍しいね」
「そう?観たい映画があったから、夜にまとめて観ようと思って」
「だから、さっき入ってたのか。いつもはもっと遅くに入るのに。一人で観るの?」
「最初はそのつもりだったけど。帰って来た時にアリスさんと会って話してたら、流れで一緒に観ることになったんだ」
それを聞いて、カルロが驚きの声を上げる。
「え、アリスと?」
「うん。ボルドーにはちゃんと話してるよ。渋い顔されたけど、許可は下りたし」
「ボルドーの中でアリスはブラックリスト入りしてるからね。それで、一緒に何を観るの?」
「ここにあるものかな。アリスさんも観たいって言ってたものを持って来たけど」
置いてあるBlu-rayのソフト数本を見て、カルロは言葉を失う。
(え?全部ホラー映画、なんだけど。この二人、ちょっとズレてない??普通はもっと楽しめそうなコメディやラブロマンスとか観るんじゃないの?何でホラーなんだ。夏だから?いやいや、いくら男女で一緒に映画を観るのに、全部ホラー映画はないだろ…)
「リク、ホラー映画以外はないの?」
「ないよ。これ、全部大学の先輩から借りたやつだし」
「アリスは嫌がってなかったの?」
「ううん。アリスさんも観たかったけど、まだ観れてないって話だったし。だから、一緒に観るわけだけどね」
リクの話を聞いて、カルロはふと思う。
(この二人、何気にお似合いじゃないか?本の趣味とか合ってるし。きっと二人のことだから大した進展はないだろうけど。そうなると、あの暴れん坊がな)
すぐにアリス、アリスと呼ぶうるさい弟の顔が浮かぶ。ハルクがアリスの名前を呼ばない日はない。そんな日があったら、青天の霹靂だろう。
「リク。その上映会、人数が増えてもいい?」
「僕は構わないけど、誰を呼ぶつもりなの?」
「それはあとでのお楽しみ」
そう言い、カルロはシアタールームから出て行く。向かった先は自分の部屋ではなく、ハルクの部屋。専属執事のアガットはもう戻ったのか、姿はない。彼自身ももう寝ようとしてたらしく、ベッドの中にいた。
「ハルク。これから映画、観ない?」
「映画?カルロと?……ヤダ」
「ちなみに観るのはホラー映画だよ」
「余計に観たくねェよ!タスク兄と間違えてんだろ!!」
プンプンと怒るハルク。
兄弟の中で一番ホラー映画が大嫌いである。ちなみにタスクの方は嬉々としながら、ホラー映画を観るタイプである。次々と襲われてく登場人物達を笑ってみる。リコリスとは絶対に観ないが(リコリスに嫌われたくないからである)
「そっか。ハルクは観ないか。これからシアタールームでリクとアリスが観るみたいだから、誘ってあげたのに。わかった。伝えとくね」
「…えっ」
カルロは部屋を出ようとしたが、すばやくベッドからおりたハルクに腕を掴まれた。
「アリスもいんの!?てか、何でリク兄と…」
「帰って来た時に話の流れで一緒に観ることになったらしいよ?ホラー映画だから、ハルクに拷問の時間だろうしね」
「だから、アイツ、機嫌良かったのか」
ハルクが見てる前でもアリスの機嫌はかなり良かったらしい。リクと二人で映画観られることがよほど嬉しかったのだろう。
「オレも観る!」
アリスの名前を出せば、100%の確率でハルクは釣れる。例え、大嫌いなホラー映画でも。ついこないだ行った別荘の時でも普段なら絶対に行かない肝試しにも参加したのだから。
「じゃあ、22時にシアタールームだから」
「わかった!」
カルロが出て行くと、ハルクは急いで、パジャマから服に着替え始めた。
.