Rainy day【後編】
【side A】
「……………ん」
目を覚ますと、知らない天井。
あれ。私、本を読んでいたはず……って、ベッド横にお坊っちゃまが寝ていた。しかも、私の手と絡めたまま。
というか、このベッド、見覚えがある。まさか!
「おはようございます、アリスさん」
「リク様!?お、お、お、お、お、お、おはようございます!」
何で私、リク様のベッドで寝てるの!?寝てる間に何があったのよ!お坊っちゃまが運んだの?いや、お坊っちゃまはまだ無理よね。私より小さいし。
「アリスさんを運んできたのは、カルロ兄さんですよ。ハルクと一緒に父さんの書斎で寝てるあなたを見つけて、僕の部屋に連れてきたんです」
「父さんの書斎??」
「はい」
え、あそこはここの当主の書斎だったの!?勝手に入ってしまったわ。怒られるのでは!執事長にバレたら、反省文書かされそうだ。いや、反省文では済まないかも。クビ!?
「私、退職届を書いた方がいいですか?」
「え?ああ、大丈夫ですよ!父さんの書斎は、元から鍵はかかってないので。鍵がかかってる部屋に入れば、問題になりますけど」
「で、でも…!」
「言わなければわかりませんし。言われても僕が入ったと言いますから」
「リク様…」
私を庇ってくれるなんて、本当に優しい!これからもあなたについて行きます。
「ハルク、起きないですね…」
「はい…」
お坊っちゃまが起きない。そろそろ起きて支度をしないと学校に遅刻してしまうのに…。
絡まった手を離したいが、お坊っちゃまがギュッと握っているせいか外れない。
「ハルク、起きて。遅刻しちゃうよ?」
「…んー」
リク様がお坊っちゃまの肩を揺すりながら、声をかけるが起きない。
「起きませんね…」
「お坊っちゃま、朝は弱いんですか?」
「いえ、弱くないはずです。僕と違って」
え、リク様は朝が弱いの!?とても見えない!リク様の新たな一面を知ってしまった。
「兄弟だとカルロ兄さんとタスクも朝は弱いんですよ。ライとドラは弱くありませんけど。僕達は父に似たんでしょう」
「意外ですね…」
「ハルクはもしかして、寝るの遅かったから起きれないのかもしれないですね」
「私を探していたせいですよね!ごめんなさい!」
「アリスさんが謝ることではないです。アガットもまだ帰ってないみたいですから、今日は休ませましょう。僕、学園に連絡いれて来ますね」
そう言って、リク様は部屋を出て行ってしまった。
私は未だに眠っているお坊っちゃまの頬を絡まってない方の手でつつく。柔らかい。ふふふ、寝顔は可愛いな。起きてる時は可愛くないけど。
「…………ん?アリス、起きたの?」
「お坊っちゃま、おはようございます!」
「おはよー。リク兄は…?」
ベッドから顔を上げて、リク様の姿を探すお坊っちゃま。
「リク様なら、学園に電話しに行きましたよ。お坊っちゃまが起きないのとアガットさんもまだ帰って来てないから、今日は休ませるって」
「やった。リク兄で助かった。これがカルロなら容赦なく起こされて、学校に行かされたから」
「カルロ様、そんなに厳しいんですか?」
「アイツ、女にしか優しくねェから。男相手は全然優しくねェもん」
そうなんだ。私には優しかったけど、それは女だったからなのね。……あっ。
「厳しくて悪かったね、この寝坊助」
「……痛ってー!」
カルロ様がお坊っちゃまの肩をギュッと掴み、お坊っちゃまが悲鳴を上げる。
「何すんだよ!痛いだろ!」
「お前が失礼なことを言うからだよ。アリス、おはよう」
「おはようございます」
「オレにも優しくしてくれよ!弟だろ!」
「弟だから甘やかさないの。それにお前はつけ上がるからな」
「ふふっ」
二人のやりとりを見て、つい笑ってしまう。私の笑う声に気づいたのか、二人が私を見る。
「すみません。兄弟って面白いなーっと思って」
「全然面白くねェよ!」
「それは同感。俺は可愛い妹が欲しかったよ。こんな暴れん坊の弟じゃなくて」
「オレだって、優しい姉ちゃんが良かった!」
「え、私が姉は嫌なんですか?」
慕われてると思っていたんだけど。お坊っちゃまはそう思ってくれてなかったの。私は血が繋がっていなくても、弟みたいに思っていたのにな。
「そ、それは…!」
「ああ。ハルクからしたら、アリスは姉じゃなくてさ、恋……痛っ!ハルク!!」
「余計なこと言うなよ!」
「何が余計なのかな?本当のことだろ、ハルク」
「うっせェ!バカ!!」
またケンカ、始まっちゃった。
兄弟だから、こんな風に出来るのよね。二人を見ていたら、何か妹に会いたくなっちゃった。そのうち電話してみよう。
【END】
「……………ん」
目を覚ますと、知らない天井。
あれ。私、本を読んでいたはず……って、ベッド横にお坊っちゃまが寝ていた。しかも、私の手と絡めたまま。
というか、このベッド、見覚えがある。まさか!
「おはようございます、アリスさん」
「リク様!?お、お、お、お、お、お、おはようございます!」
何で私、リク様のベッドで寝てるの!?寝てる間に何があったのよ!お坊っちゃまが運んだの?いや、お坊っちゃまはまだ無理よね。私より小さいし。
「アリスさんを運んできたのは、カルロ兄さんですよ。ハルクと一緒に父さんの書斎で寝てるあなたを見つけて、僕の部屋に連れてきたんです」
「父さんの書斎??」
「はい」
え、あそこはここの当主の書斎だったの!?勝手に入ってしまったわ。怒られるのでは!執事長にバレたら、反省文書かされそうだ。いや、反省文では済まないかも。クビ!?
「私、退職届を書いた方がいいですか?」
「え?ああ、大丈夫ですよ!父さんの書斎は、元から鍵はかかってないので。鍵がかかってる部屋に入れば、問題になりますけど」
「で、でも…!」
「言わなければわかりませんし。言われても僕が入ったと言いますから」
「リク様…」
私を庇ってくれるなんて、本当に優しい!これからもあなたについて行きます。
「ハルク、起きないですね…」
「はい…」
お坊っちゃまが起きない。そろそろ起きて支度をしないと学校に遅刻してしまうのに…。
絡まった手を離したいが、お坊っちゃまがギュッと握っているせいか外れない。
「ハルク、起きて。遅刻しちゃうよ?」
「…んー」
リク様がお坊っちゃまの肩を揺すりながら、声をかけるが起きない。
「起きませんね…」
「お坊っちゃま、朝は弱いんですか?」
「いえ、弱くないはずです。僕と違って」
え、リク様は朝が弱いの!?とても見えない!リク様の新たな一面を知ってしまった。
「兄弟だとカルロ兄さんとタスクも朝は弱いんですよ。ライとドラは弱くありませんけど。僕達は父に似たんでしょう」
「意外ですね…」
「ハルクはもしかして、寝るの遅かったから起きれないのかもしれないですね」
「私を探していたせいですよね!ごめんなさい!」
「アリスさんが謝ることではないです。アガットもまだ帰ってないみたいですから、今日は休ませましょう。僕、学園に連絡いれて来ますね」
そう言って、リク様は部屋を出て行ってしまった。
私は未だに眠っているお坊っちゃまの頬を絡まってない方の手でつつく。柔らかい。ふふふ、寝顔は可愛いな。起きてる時は可愛くないけど。
「…………ん?アリス、起きたの?」
「お坊っちゃま、おはようございます!」
「おはよー。リク兄は…?」
ベッドから顔を上げて、リク様の姿を探すお坊っちゃま。
「リク様なら、学園に電話しに行きましたよ。お坊っちゃまが起きないのとアガットさんもまだ帰って来てないから、今日は休ませるって」
「やった。リク兄で助かった。これがカルロなら容赦なく起こされて、学校に行かされたから」
「カルロ様、そんなに厳しいんですか?」
「アイツ、女にしか優しくねェから。男相手は全然優しくねェもん」
そうなんだ。私には優しかったけど、それは女だったからなのね。……あっ。
「厳しくて悪かったね、この寝坊助」
「……痛ってー!」
カルロ様がお坊っちゃまの肩をギュッと掴み、お坊っちゃまが悲鳴を上げる。
「何すんだよ!痛いだろ!」
「お前が失礼なことを言うからだよ。アリス、おはよう」
「おはようございます」
「オレにも優しくしてくれよ!弟だろ!」
「弟だから甘やかさないの。それにお前はつけ上がるからな」
「ふふっ」
二人のやりとりを見て、つい笑ってしまう。私の笑う声に気づいたのか、二人が私を見る。
「すみません。兄弟って面白いなーっと思って」
「全然面白くねェよ!」
「それは同感。俺は可愛い妹が欲しかったよ。こんな暴れん坊の弟じゃなくて」
「オレだって、優しい姉ちゃんが良かった!」
「え、私が姉は嫌なんですか?」
慕われてると思っていたんだけど。お坊っちゃまはそう思ってくれてなかったの。私は血が繋がっていなくても、弟みたいに思っていたのにな。
「そ、それは…!」
「ああ。ハルクからしたら、アリスは姉じゃなくてさ、恋……痛っ!ハルク!!」
「余計なこと言うなよ!」
「何が余計なのかな?本当のことだろ、ハルク」
「うっせェ!バカ!!」
またケンカ、始まっちゃった。
兄弟だから、こんな風に出来るのよね。二人を見ていたら、何か妹に会いたくなっちゃった。そのうち電話してみよう。
【END】