Rainy day【前編】

……………
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「……どこいんだよ!本当に」


再度見て回っても、全然見つからない。一階と二階は、ほぼ回った。それなのにアリスの姿は見つからない。やっぱり部屋を見に行くしかねェか。何かあったら…!



「ハルク」


背後から名前を呼ばれた。そこにはカルロが立っていた。きっと書斎から戻って来たんだろう。鍵を持っていたから。



「お前はさっきから屋敷内を走り回ってるけど、何を探してるの?」

「…別に。何でもねェし」


そう言って、立ち去ろうとした。アリスがここにいることはなるべく知られたくねェ。



「もしかして、アリス?」

「……だったら、なんだよ」

「別に。お前が必死になるのは、あの娘のことだけだからね」


うっせェ。
カルロから離れようと背を向ける。すると───



「一階と二階にいないなら、三階じゃない?」

「え」

「三階は見た?」


三階は親父の部屋や仕事部屋などがある。そこにアリスがいるわけないと思い込んでいた。



「…見てねェ」

「三階にも鍵がなくても入れる部屋はあるからね。もしかしたら、アリスはそこにいるかもよ」


カルロに言われ、オレは階段で三階に向かう。
と、オレの背後から足音がした。振り向くと、カルロがついて来ていた。



「何でついて来んだよ!」

「お前だけだと物を壊しそうだからだよ。親父に怒られたくないだろ?」

「別に怖くねェよ」

「アリスを世話係から外されてもいいのか?」


それは困る。ただでさえ、オレはアリスと問題を何度も起こしている。ボルドーから毎日報告はあるから、親父の耳には入ってるはず。これ以上、何かあれば外されてもおかしくはねェ。



「……気をつける」

「アリスが関わると、本当に素直だな」


世話係、外されたくねェからだよ。





【続】
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