Rainy day【前編】

アリスが書斎で本を読み出した頃、ハルクがリクの部屋を訪れていた。



「ハルク。どうしたの?」

「ねぇ、ここに来てない!?」

「?……誰が?」

「来てないならいい!」


すばやく立ち去るハルクにリクは、首を傾げるしかない。



「一体、誰を探してるんだろ?ハルクは…」

「やっぱり探してるー」


そこへタスクがやって来た。リクがタスクに話しかける。



「タスク。ハルクは誰を探してるの?」

「アイツが必死に探すのは一人しかいないよ。アリス」

「え。アリスさん、屋敷内にいるの?」

「うん。腕時計してたけど、時間が止まってたみたいで、出られなかったんだって。ほら、今日は22時になるとロックかかっちゃうじゃん。ハルクの部屋から出て行っちゃって、ハルクが今必死で探してんの」

「そうなんだ。僕も探した方がいいかな」

「そのうちハルクが見つけるよ。アリスの名前を出さなかったのも、他の人に知られたくないからだろうし」

「そっか…」


リクは、ハルクが走って行った方向を見つめた。



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