小ネタ集17

【仮装衣装】※ハルク視点

10月31日。ハロウィン。
うちの学園では、毎年この日は、一日仮装をするという行事がある。授業はないから、皆、ここぞとばかりに楽しみにしていた。小等部にはなかったよな?オレ、記憶ねェんだけど。

ハロウィンまで、あと一ヶ月というある日。
LHRでは、ハロウィンに着るという仮装をくじで決めることになっていた。

クラスのヤツが箱の中にある紙に書かれたのを引いて、すげー喜ぶヤツもいれば、ショックを受けるヤツもいて、反応は様々だった。

そうこうしているうちにオレの番になった。深く考えもせず、手にした紙を掴み、開く。そこに書かれていたのは───



「…………………………は?」


書いてあったものにオレは、目を疑った。

いやいや、ハロウィンにこれはないだろ!何でだよ!てか、オレには絶対に似合わねェ衣装だし。オレは紙を持ったまま、しばし硬直していた。



「ハルク、何だった?………これはまた意外だねー」

「シンジュ!見たのか!?」

「見たよ」

「お前は何だったんだ!?」

「これだよ」


シンジュに見せてもらった紙には、オレとは違うものが書かれていた。てか、これもハロウィンに関係あるか?オレよりはそれっぽいけどさ。



「なあ、オレのと交換してくれ!お前の方が絶対に似合うから!」

「ハルクが着たくないだけでしょ、それ。だめだよ。俺は交換しないからね」

「頼む!シンジュ!!」


どう考えても、オレよりはシンジュの方が断然、似合う。誰が見てもそう思う!それなのに、シンジュは担任に言いに言ってしまった。しかも、オレのまでも…。もう変更が出来ねェじゃん!

ガックリしながら、席に戻れば、先に戻っていたコウやサンストーンが声をかけてきた。



「二人共、何騒いでたの?」

「ハルクが交換しろってうるさくてさ」

「お前、交換する気なかっただろうが!」

「お前らのやりとりに女子達が喜んでたけどな」

「は?何で?」


オレとシンジュが話してただけだぞ?何も楽しくもねェし。



「てか、ドルチェもダイヤモンドも何だった?」

「二人は何の仮装だったの?」


シンジュが自分のとオレの仮装衣装を答えた。すると、コウは驚き、サンストーンは笑い出した。



「ドルチェが!?ぶあはは!想像出来ねー!」

「笑い過ぎなんだよ!」

「だって、ドルチェが…!絶対にダイヤモンドの方が似合うって!カイヤナイトだって、そう思うだろ?」

「僕はハルクでも似合うと思うよ」

「ドルチェのキャラじゃねーって。むしろ真逆!あははは」


コウはフォローをしてくれたが、オレ自身も似合わねェのはわかってる。だけど、こんなに笑われるのも腹が立つ。他人事だと思って大笑いやがって!



「そっちは何の仮装なんだよ!」

「俺は…」


サンストーンもコウもハロウィンの定番の仮装だった。何でオレだけ!

はあー。当日、休みてェ。



.
4/5ページ
スキ