小ネタ集16


【コルチカムとアメジスト】※カルロとリクとライの後日談。短め。


カルロの話を聞いたアメジストは、後日、自分の秘書であるブランとノワールにその令嬢の元へ行くように命じた。ただではない。ある程度の金を用意し、示談しに行かせたのである。

カルロには、他の令嬢を婚約者にしようと考えている。だから、ベスビアナイト家の娘と婚約をさせるわけにはいかない。

だが、その令嬢は一見はおとなしいものの、かなり頑固で、カルロと婚約したいと引き下がらなかったのである。何度か屋敷に向かっても、彼女は縦には頷かず、報告を受けていたアメジストもこれでは平行線のままで、埒があかないと思い、問題を起こした当のコルチカムに行かせることにした。

すると、あっという間に解決したのである。令嬢も渋々だが、示談に応じたそうだ。コルチカムがアメジストの元に報告に来て、そう言った。



「ベスビアナイト家のことは、無事に解決したよ。済まなかったね。カルロにも飛び火したみたいで」

「済まないと思うなら、少しは控えてくださいよ。父さん」

「おや、人のことに口を出せるのかな?アメジスト」

「若い娘に声をかけたことなどありませんよ」

「“あの娘”は、若い娘に入らないのか?」

「……………」


コルチカムは、知っている。
アメジストが屋敷にいる使用人に手を出していることを。その娘は、昔、闇オークションで買った双子の姉・エメラルド。緑色で左右違った目をした気の強い少女だった。その少女の娘、スマルト・ティラミスだ。キレイな顔は母親譲りだが、性格はかなりのマイペースだが、頭は悪くない。



「さて、用は終わったから、今日はこれで帰るよ。……そうそう。一つ言い忘れるところだった」

「…何ですか?」

「ラピスくんに似ている“あの娘”にも手を出さないようにな。あの子に手を出すと、お前の息子達が騒ぎ出すだろうからね」

「……………俺は、あの娘に興味などありません」

「そうか。それならいいけれど、ね…。お前は自分をわかっていないこともあるから。わかっているならいいさ」


それだけ言って、コルチカムは出て行く。
残されたアメジストは、怒りで震えた。そして、持っていた空になったコーヒーカップを壁へと投げつけた。カップは無惨に割れてしまい、二度と使えなくなった───。


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