Edo



「もしもし。ビア、ごめんね?連絡、出来なくて。今までリアといたから」

『またあの女といたの!?わたしの誘いを断って、あの女を選んだわけ!』

「違うよ。先にリアと約束してたんだ。その前に誘ってくれたら、君と過ごしてたよ」

「そんな言い訳、聞きたくないわ!わたしとあの女、どっちが好きなの!?」

そう言われても、選べない。リアにはリアの魅力があるし、ビアにもビアの魅力があるんだし。


「どっちも好きだし、大事だよ」

『何で選んでくれないの!わたしはエドが一番なのに…」

ビアが泣きながら、そう言ってきた。困ったな。僕は本当に誰も選べない。皆、同じくらい好きだから、誰が一番なんて選べないんだ。何も返せないでいると、ビアが言った。


『じゃあ、わたしのことが大事と思うのならば、言葉よりも態度で示して!』

「今?」

『そう。わたしが大事なら出来るでしょ?』

態度で示せと言われても。目の前にいない相手にどうやって?ビア、矛盾しているな。そんなところも可愛いんだけどね。


「君が目の前にいるなら、いくらでも示すよ。でも、今は言葉だけじゃダメかな?」

『ふん。仕方ないわね。じゃあ、言って!』

「好きだよ、サルビア。世界で一番、君が好き」

『だったら、早く会いに来て!今すぐ。私をさらいに来て』

「今すぐには、無理だよ。僕達は婚約してるわけじゃないから。今行ったら、君の父親が倒れてしまうからね」

『あなたと婚約したい!お父様にも何度も言ってるのよ!?でも、許してくれない…』

許してくれないのは、僕が色んな女の子と遊んでることを聞いているからだろう。わからなくはないけど。僕も同じ立場なら、そう考えるから。
だけど、僕は遊びを止めるつもりはない。一人になんて縛られたくないし。


「なるべく早く迎えに行くから。待ってて」

『約束よ!エド』

「約束は必ず守るよ。また後でね。おやすみ」

『おやすみなさい…』

電話を切ると、スマホを助手席に置く。
他にもメッセージが沢山入っていたが、面倒だから、明日にしておこう。
あ、もう日付が変わってたんだった。今日はビアと会うから、出かける前に送られてきたメッセージは全て返しておこう。

僕はようやく車を発進させ、その場を後にした。



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