小ネタ集15

【可愛い男の子】

アリスが目をキラキラさせながら、祈るように手を組んでいた。彼女の目の前には、幼い男の子がいて、見た目から4、5歳くらいだが、見覚えのある顔をしている。そう。アリスの目の前にいる男の子はハルクである。

いつも世話をするハルクがひょんなことから、身体が小さくなってしまったのである。その姿にアリスはメロメロになった。



「可愛い!」

「……」

「可愛いです!お坊っちゃま」


そう言って、アリスがハルクを抱きしめた。力強く抱きしめてくるので、苦しくもあった。が、ハルクの中では嬉しさの方が強い。

しかし、今の自分はただアリスを喜ばせるだけで、自分と同じ気持ちではない。複雑な思いを抱えながらも、顔を真っ赤にする。それもそのはず。アリスの胸が思いっきり当たっていたのだから…。



「かわいい、かわいいいうな!てか、はなせー!くるしいんだよ!バカ!」

「だめですよ!こんな可愛いんですから、離したら、誘拐されてしまいます」

「いま、げんにおまえにユーカイされかかってるけどな」

「え、誘拐されたいんですか!?じゃあ、私の部屋で一緒に寝ましょうか!今のお坊っちゃまなら、大歓迎ですよ」

「っ!?……アガットー!たすけてー!!」


ハルクは、アリスから自分を救ってくれる味方のアガットの名前を叫んだ。

そんな二人を見ている一部の兄弟達。



グ「本当にアリスって、子供が好きだね」

カ「いつもの対応よりも、かなり優しいね。ハルクがあの姿だからかな?」

タ「てか、ハルクのヤツ、絶対に一瞬、グラッときたぜ。アイツ、結構スケベだから」

カ「いや、あれは今でも戦ってるよ。理性と」

グ「ルクの身体は幼くても、中身は中学生だからね。思春期には、あれはちょっと…」

カ「……相当やばいよ」

タ「しかも、好きな相手じゃん。オレがリコリスにされても、ギリギリヤバイよ」

ラ「おれなら、ガキの姿でも押し倒すけど」

グ「おや、ライ。いつの間に…」

ラ「だって、ガキの姿でヤれることなんて、早々にねーし!普段は絶対に出来ねープレイとか試せるじゃん」

カ「お前の頭の中は、いつもそういうことしかないの?」

ラ「カルロに言われたくねーし」

グ「それは一理あるね!」

タ「確かに。カルロって、一時期ライよりも遊びまくってたよな!」

カ「ちょっとグレン、タスク!俺の味方じゃないわけ!?」

グ タ「「違う!」」

カ「見事な手の平返し!誰の味方なの!?」

グ「そんなの決まってるじゃない!」

タ「決まってるじゃん!」

グ タ「「自分!」」

カ「…だろうね。そんな気がしたよ」

ラ「ハルクもさ、我慢なんかしなきゃいいのに。ああやって、向こうから迫ってんだから、期待に応えてやればいいじゃん」

グ「ライ。そうは言っても、皆が皆ライのようにはいかないんだよ」

ラ「そうかー?おれ達オヤジの血が入ってんだぜ?我慢なんて、出来ると思うか?おれなら出来ねーし!」

グ「……どうしてかな。言葉が出てこなかった」

カ「否定したいけど、否定が出来ない」

タ「ライが正論を言った…」

ラ「ほらな」


ライの言葉に何も言えない三人だった。

一方。
ハルクの元にアガットが駆けつけていた。



「俺がお坊っちゃまと初めて出会った頃くらいの姿ですね!」

「そうなんですか?」

「はい。俺が中学生になった頃にお坊っちゃまと会ったんですよ!うわー。懐かしいな…」

「私もその頃に会いたかったです!」

「……」


すぐにアガットが来てくれたものの、彼はハルクの味方ではなかった。同じように子供が好きなアガットは、アリスと盛り上がっていたのである。



「本当に可愛いですよね!」

「はい。可愛いです。お坊っちゃま、元に戻らないで、そのままでいてください」

「ふざけんな!」

「俺もそのままでいいと思います。どんな姿でもお坊っちゃまなんですから」

「そうですよ!お坊っちゃま」

(コイツらは、他人事だと思ってー!この似た者同士が!!)


その後、すぐにハルクの姿は元の姿に戻った。
残念がる二人をよそにハルクの機嫌は、その日、直ることはなかった───。





【END】
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