小ネタ集14

【砕けたchoralと輝くagete】



私の可愛いコーラルは、もういない。
インディゴ・ダイヤモンドに奪われた。

出かけた帰り、走っている車の中から窓の外を見ていたら、私は目を見開く。


……コーラル?
あの顔はコーラルだ。私が間違えるわけがない。



「…停めて!」

「え?」

「今すぐに停めなさい!」


運転手にそう怒鳴り、無理矢理車を停めさせた。ここで待機するように命じて、私はコーラルを探す。



「コーラル!」


どこ。私のコーラル! あなたは、やっぱり生きていたのね。



「コーラル!」


いた!
私は急いで近づき、こちらに振り向かせた。



「コーラル!」

「え?……あの、俺はコーラルって名前では…」

「何言っ…」


目の前にいる彼を見た。
コーラルと同じ顔で、口元にホクロもある。だが、目の色が違う。オッドアイではない。髪色も似ているようにも見えたが、よく見れば違う。



「あなた、名前は?」

「メノウです」


違う。別人だ。
私はトボトボと車に戻ることにした。

そうよね。
コーラルに似た子なんて、滅多にいないわよね。私も歳を取ったんだわ。





数日後。
使用人のアパタイトが私にあることを報告してきた。それはコーラルに関してのこと。



「シトリン様。コーラル・スノーホワイトに子供はいます」

「え?コーラルの…」

「はい。コーラル・スノーホワイトとインディゴ・ダイヤモンドの間に7人の子供がいて、一番下の妹以外は全員が息子です。こちらが子供達」


アパタイトが用意したコーラルの子供の写真。一人一人を見た。コーラルに一番似ていたのは、長男のアガット。数日前に街で見つけた子と酷似していた。けど、あの子、メノウと言ってたけど、瑪瑙ってアガットともいうのよね。



「この子、長男は今どこにいるの?」

「アガットは、今アメジスト様の家にいます。ご子息のハルク様の専属執事です」

「アメジストの?」


アメジストったら、お気に入りだったから隠していたのね。そうよね。よくコーラルを抱いていたものね。ラピスラズリがルビー・マチェドニアに奪われてから。

アメジストが男で唯一手を出したのは、コーラルだけだ。



「どうされますか?」

「まだ様子を見ることにするわ。ありがとう、アパタイト」


彼の頬にキスを落とす。彼は顔を赤くしながらも「いえ、仕事ですから。シトリン様のためなら…」と答えていた。

本当に可愛い。


でも、一番可愛いのは───














.
2/4ページ
スキ