Riku's Birthday

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それからリク様は、私の作ったケーキをすべて平らげてくれた。
嬉しい!全部食べてくれるなんて、作った甲斐があったよー!



「アリスさんはすごいですね。こんなにおいしいケーキを作れるんですから…」

「そんなことないです!私なんて全然…」

「いえ、アリスさんはすごいですよ。僕は作れませんから尊敬します」


リク様から尊敬されてしまった!?私はただ趣味で作ってるだけなのに…。尊敬されるものじゃない。
でも、全部食べてくれたってことは、私の作るケーキを気に入ってくれたんだよね?



「…あの、リク様」

「はい」

「また来年もその先もケーキを作って、お誕生日をお祝いしてもいいですか?」

「……」


返事がない。
やっぱりだめなのかな。年に一度の誕生日だから、ここにいられる限りはお祝いしたいんだけど。



「いいんですか?」

「えっ…」

「僕の誕生日なんかに…」

「なんかじゃありません!年に一度のリク様の生まれた日なんです。そんな特別な日を一緒にお祝いしたいです!」

「……」


はっ、しまった!つい熱が入ってしまったわ。いけない、いけない。



「すみません。つい…。ですが、リク様は普段からあまりワガママ言わないですし。誕生日くらいはワガママ言ったって誰も怒りませんから、どんどん言ってください」

「じゃあ、アリスさんが僕のワガママを聞いてくれますか?」

「はい!!私に出来ることでしたら、どんなことでも叶えますよ」

「そう言ってもらえるだけで嬉しいです。ありがとうございます」


リク様が私に柔らかく微笑んでくれた。

尊い。その笑みに私はつい拝みたくなった。いや、拝む。拝まないと。神聖なものだもの。



「こちらこそ、生まれてきてくれてありがとうございます」

「え、アリスさん!?恥ずかしいです。拝まないでください」

「すみません。でも、今は…今だけは拝ませてください!」


リク様が少し困っていたが、許して欲しい。私は拝まないと、邪念が出てきてしまいそうで…。
これは私のためでもあるんだ。

そこへ誰かがドアをノックした。
入って来たのは───



「リク。帰ったんだね、って。……え?何してるの。何でアリスはリクを拝んでいるのかな」

「それが僕にもよくわからなくて…」

「リク様が尊いからです…」


私は拝んだまま、カルロ様に答えた。それにカルロ様は苦笑しながら頷く。



「うん。なんとなくわかったよ…」

「カルロ兄さん。わかるの?」

「だって、アリスだから」

「アリスさんだからって何!?」

「リクはアリスの奇行を知らないんだったね…。うん。知らない方がいいよ。知らぬが仏っていうだろ?」

「奇行?アリスさんが…」

「うーん。リクがアリスの奇行を見たら、アリスがショックを受けるかもしれないな。リクは見ないであげて」

「余計に気になるよ…」


リク様とカルロ様が何か私の話をしているみたいだけど、今はいい。私はお祈りの途中だから…。

ああ。神様、リク様と会わせていただきまして、ありがとうございます。私は幸せです!





【END】
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