小ネタ集13
【試食】
「どうですか?」
「うまい!」
「じゃあ、これは?」
「うまい!」
「こっちのは?」
「うまい!」
「もーう!お坊っちゃま、ちゃんと食べて、味を教えてくださいよ」
「だって、どれもうまいし。選べねェから」
ケーキを口いっぱいに頬張って食べるお坊っちゃま。それを見た私は、お坊っちゃまがリスに見えた。怒るから、お坊っちゃまには言わないけど。
リク様の口に入るのだから、一番おいしいケーキを食べてもらいたい。だから、色々な種類のケーキを作って、お坊っちゃまに味を見てもらっていたのだが、お坊っちゃまはちっともあてにならない。どれもうまいしか言わないからだ。
というか、お坊っちゃまはケーキを食べたかっただけかもしれない。私は人選に失敗したようだ。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
※正解。
ハルクはアリスの作るケーキが食べたくて、試食に手を挙げただけである。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「何か甘い匂いすると思ったら、ここだったんだ」
「すげー。沢山ケーキあんじゃん!」
そこへカルロ様とタスク様が入ってきた。
机の上にある沢山のケーキを見て、驚かれていた。どれもお坊っちゃまに味をみてもらっているから、一切れずつなくなってはいるけど。
「これ、全部アリスが作ったの?」
「はい。私が作りました。リク様の誕生日ケーキ用に練習していて」
「ああ、もうじきリクの誕生日だね」
「リク様に頼まれて、誕生日ケーキを作っていたんですが、お坊っちゃまにどれがいいか食べてもらったら、どれもうまいしか返ってこなくて…」
「ハルクに味見か…」
「それは意味ねェかも…」
「?」
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※それはそうである。ハルクはアリスの作るケーキなら何でも好きなのだから。あてになどなるはずがないとカルロとタスクは思っていた。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
今も私の作ったケーキをお坊っちゃまは食べていた。もう一通りは食べたはずなのに。しかも、さっきから、ショートケーキばかり食べている。だからか、ショートケーキだけが半分しか残っていなかった。
「てか、ハルク。お前、よくこんなにケーキ食べられるな。胸焼けしねェの?」
「え?全然…」
「タスク。そこは愛だよ」
「愛?ああ、そうか。そうだよな!愛がなきゃ食えねェよな」
「違っ!てか、なんだよ!愛って…」
顔を真っ赤にしながら、お坊っちゃまが叫ぶ。そのお坊っちゃまの口元にクリームがついてる。私はハンカチを手に持つ。
「お坊っちゃま、クリームついてますよ。こっち向いてください」
「…ん」
口元のクリームを拭いてあげた。こういうところはまだ子供なんだから。
「食べてくれるのはいいですけど、無理しないでくださいね?お腹を壊したら大変ですよ」
「無理なんかしてねェし!」
「アリス。俺もケーキ、食べてもいいかな?」
「オレも!食べてみたい!」
「わかりました。今、お皿とフォークを持ってきます。ついでに飲み物も用意しますね」
私は隣にあるキッチンに向かった。
数分後。
飲み物を準備し、トレーに飲み物とケーキ皿、フォークを乗せて、戻ってきた。
戻ると、お坊っちゃまがムッとした顔をしていた。
「何かありました?」
「な、何でもねェよ…」
そう言って、お坊っちゃまはケーキを食べる。
私はカルロ様とタスク様にカットしたケーキをお皿に乗せて、それぞれに渡す。飲み物も近くに置き、最後にお坊っちゃまのところに飲み物を置いた。
ケーキを見ると、さっき見たよりも更にショートケーキが減っていた。カルロ様もタスク様も選んではいない。それなのにもう残りが二切れしか残っていない。
お坊っちゃま、いちごが好きなんだろうな。お坊っちゃまの誕生日には、ショートケーキでも作ってあげよう。あれ?
「お坊っちゃまの誕生日って、いつですか?」
「5月5日」
「もう過ぎちゃいましたね…」
「まあな。何で誕生日なんて聞くんだよ?」
「誕生日にケーキを作ってあげようと思って。それじゃあ、来年の誕生日にショートケーキを作ってあげますね」
「ショートケーキ?」
お坊っちゃまが不思議そうに首を傾げる。今自分が食べてるケーキなのに、知らないのかな。
「今、お坊っちゃまが食べてるケーキですよ。さっきから、そればかり食べてるじゃないですか」
「この中のケーキでは、これが合っただけだし」
お坊っちゃまは、ショートケーキが気に入ったようだ。そういえば、お菓子にいちごが入ってると、全部食べたがるような。いちごが好きなのかしら。
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「どうですか?」
「うまい!」
「じゃあ、これは?」
「うまい!」
「こっちのは?」
「うまい!」
「もーう!お坊っちゃま、ちゃんと食べて、味を教えてくださいよ」
「だって、どれもうまいし。選べねェから」
ケーキを口いっぱいに頬張って食べるお坊っちゃま。それを見た私は、お坊っちゃまがリスに見えた。怒るから、お坊っちゃまには言わないけど。
リク様の口に入るのだから、一番おいしいケーキを食べてもらいたい。だから、色々な種類のケーキを作って、お坊っちゃまに味を見てもらっていたのだが、お坊っちゃまはちっともあてにならない。どれもうまいしか言わないからだ。
というか、お坊っちゃまはケーキを食べたかっただけかもしれない。私は人選に失敗したようだ。
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※正解。
ハルクはアリスの作るケーキが食べたくて、試食に手を挙げただけである。
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「何か甘い匂いすると思ったら、ここだったんだ」
「すげー。沢山ケーキあんじゃん!」
そこへカルロ様とタスク様が入ってきた。
机の上にある沢山のケーキを見て、驚かれていた。どれもお坊っちゃまに味をみてもらっているから、一切れずつなくなってはいるけど。
「これ、全部アリスが作ったの?」
「はい。私が作りました。リク様の誕生日ケーキ用に練習していて」
「ああ、もうじきリクの誕生日だね」
「リク様に頼まれて、誕生日ケーキを作っていたんですが、お坊っちゃまにどれがいいか食べてもらったら、どれもうまいしか返ってこなくて…」
「ハルクに味見か…」
「それは意味ねェかも…」
「?」
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※それはそうである。ハルクはアリスの作るケーキなら何でも好きなのだから。あてになどなるはずがないとカルロとタスクは思っていた。
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今も私の作ったケーキをお坊っちゃまは食べていた。もう一通りは食べたはずなのに。しかも、さっきから、ショートケーキばかり食べている。だからか、ショートケーキだけが半分しか残っていなかった。
「てか、ハルク。お前、よくこんなにケーキ食べられるな。胸焼けしねェの?」
「え?全然…」
「タスク。そこは愛だよ」
「愛?ああ、そうか。そうだよな!愛がなきゃ食えねェよな」
「違っ!てか、なんだよ!愛って…」
顔を真っ赤にしながら、お坊っちゃまが叫ぶ。そのお坊っちゃまの口元にクリームがついてる。私はハンカチを手に持つ。
「お坊っちゃま、クリームついてますよ。こっち向いてください」
「…ん」
口元のクリームを拭いてあげた。こういうところはまだ子供なんだから。
「食べてくれるのはいいですけど、無理しないでくださいね?お腹を壊したら大変ですよ」
「無理なんかしてねェし!」
「アリス。俺もケーキ、食べてもいいかな?」
「オレも!食べてみたい!」
「わかりました。今、お皿とフォークを持ってきます。ついでに飲み物も用意しますね」
私は隣にあるキッチンに向かった。
数分後。
飲み物を準備し、トレーに飲み物とケーキ皿、フォークを乗せて、戻ってきた。
戻ると、お坊っちゃまがムッとした顔をしていた。
「何かありました?」
「な、何でもねェよ…」
そう言って、お坊っちゃまはケーキを食べる。
私はカルロ様とタスク様にカットしたケーキをお皿に乗せて、それぞれに渡す。飲み物も近くに置き、最後にお坊っちゃまのところに飲み物を置いた。
ケーキを見ると、さっき見たよりも更にショートケーキが減っていた。カルロ様もタスク様も選んではいない。それなのにもう残りが二切れしか残っていない。
お坊っちゃま、いちごが好きなんだろうな。お坊っちゃまの誕生日には、ショートケーキでも作ってあげよう。あれ?
「お坊っちゃまの誕生日って、いつですか?」
「5月5日」
「もう過ぎちゃいましたね…」
「まあな。何で誕生日なんて聞くんだよ?」
「誕生日にケーキを作ってあげようと思って。それじゃあ、来年の誕生日にショートケーキを作ってあげますね」
「ショートケーキ?」
お坊っちゃまが不思議そうに首を傾げる。今自分が食べてるケーキなのに、知らないのかな。
「今、お坊っちゃまが食べてるケーキですよ。さっきから、そればかり食べてるじゃないですか」
「この中のケーキでは、これが合っただけだし」
お坊っちゃまは、ショートケーキが気に入ったようだ。そういえば、お菓子にいちごが入ってると、全部食べたがるような。いちごが好きなのかしら。
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