小ネタ集13

【リクエスト】


8月の終わり、リク様と話をしていた時のこと。



「8月といえば、こないだあったライ様の誕生日って、いつもああなんですか?」

「大体はあんな感じですね。誕生日といっても、昔のように盛大にはやらなくなりましたね…」

「そうなんですか?そういえばリク様の誕生日って、いつなんですか?」

「僕ですか?来月です。9月9日」

「え…。もうすぐじゃないですか!」

「はい。でも、もう誕生日を祝って喜ぶ歳でもありませんから」

「だめですよ!せっかくのリク様が生まれたお祝いの日なのに…」

「それじゃあ、アリスさんがお祝いしてくれますか?」


えっ。私がリク様の誕生日をお祝い!?
したい!したいけど!使用人の私がしていいの?だけど、せっかくのリク様の誕生日なんだから、お祝いはしたい!!



「なんて冗…」

「したいです!リク様の誕生日をお祝いしたいです!!」


すると、何故かリク様は黙ってしまう。
あれ?私、がっつき過ぎた??いや、だって、もうすぐ誕生日って聞いたからにはお祝いしたいし。



「リク、様?」

「アリスさんは優しいですね」


ううっ、笑われた!本気過ぎて、引かれたのかな。がーん。私、そんなつもりじゃないのに…。



「あの、嫌でしたか?私は本当にリク様の誕生日をお祝いをしたくて…」

「ああ、違います!嫌じゃないんです。少し照れくさくて…。祝ってくれるのは嬉しいです。僕の誕生日をそこまで祝おうとしてくれる人はあまりいなかったので」


良かった!
というか、リク様の控えめな笑顔が眩しい!眩しすぎて、私は苦しい!でも、お誕生日はお祝いしたい!何としても!



「リク様、是非お祝いさせてください!」

「ありがとうございます。誕生日をお祝いしてくれるなら、一つお願いしてもいいですか?」

「お願い?」


そのお願いを聞いて、私は翌日、ある行動に出た。



「うーん。どれがいいんだろう…」


私は小食堂を借りて、ケーキを作っていた。

リク様のお願いは、私に誕生日ケーキを作ってくださいとのことだった。だから、誕生日定番のショートケーキがいいのかなと考えてみたけど、安直かな?色々なケーキをつい作ってみたけど、作り過ぎちゃった。試作だから小さめに作ってみたけど、数が多すぎるよね。しまった…。



「アリス。こんなところにいたのか。うわっ、なんだよ。このケーキの山…」

「リク様の誕生日に作る用のケーキの候補ですよ」


お坊っちゃまが私を探していたのか、ここにやって来た。そして、ケーキの山を見て、驚く。しかし、目は輝いていたのを私は見逃さなかった。丁度いい。お坊っちゃまに試食してもらおう。



「お坊っちゃま。頼みたいことあるんですが…」

「なんだよ?」

「ケーキの試食をしてくれません?嫌なら仕方な…」

「やる!食べる!早くちょーだい!!」


決断が早いな。いつの間にか席についてるし。ま、食べてくれるならいいか。




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