小ネタ集9

❰兄姉弟妹その1❱


お坊っちゃまのところへ向かおうとしたら、アガットさんを見つけた。でも、誰かといるみたいだった。その相手を見ると、私と同じ時期に入った男の子。名前は確かアッシュ。年齢も私と同じだったけど、あまり話したことないのよね。



「話は終わった?なら、もういいだろ」

「こら、話はまだ終わってない。アッシュ!」

「兄貴、マジでうっせ…」


え?兄貴??ということは…。
そうしているうちにアッシュの方は行ってしまった。



「あれ?アリスさん…」

「アッシュって、アガットさんの弟なんですか?」

「はい。俺の弟ですよ」


全然知らなかった。
でも、二人をよく見ると似てたな。何で気づかなかったんだろう。アガットさんの方は口元にホクロあるけど、アッシュの方は目の下にある。



「実はここで働いてる弟があともう一人いるんですよ」

「えぇ!?」


まだいるの?アガットさんの弟。というか、何人兄弟なんだろう。



「アガットさん、兄弟は何人いるんですか?」

「7人です。一番下だけが女の子で、それ以外は男なんですよ。しばらく妹や弟達にはあまり会えてないんですけどね…」


そう話すアガットさんは少し寂しそうだった。離れて暮らしてるから、なかなか会えないのか。



「私も妹いるんですけど、少し生意気なんですよ。歳はお坊っちゃまと同じで」

「じゃあ、うちの5番目の弟とも同じだ。ハルクお坊っちゃまを見ていると、つい弟を重ねて見てしまうんですよね」


お坊っちゃまとアガットさんの弟さんとうちの妹が同い年なんだ。ちょっと見てみたいかも。会うことはないんだろうけど。



「そういえば、アンバーの妹もここでメイドとして働いてるんですよ。知ってましたか?」

「アンバーさんの妹もいるんですか?へぇ、誰なんだろう…」

「アリスさんもよく知っている子ですよ」


そう言われても、メイドは結構いるしな…。
アンバーさんの妹か。やっぱりしっかりした子なのかな。



「あら、アリスとアガットさん」

「スマルト。あれ、今、キッチンの手伝いにいたんじゃ…?」

「終わったわよ。今から別館の掃除に行くところ」

「あ、そうなんだ…」


アガットさんと話していたら、スマルトが通りかかった。



「アリスさん、わかりました?」

「いえ…」


うーん、アンバーさんの妹って誰だろう?スマルトは知ってるかな。聞いてみよう。



「スマルト。アンバーさんの妹って知ってる?」

「ええ」

「誰??」

「私」

「……え?」


今なんて、スマルトがアンバーさんの妹??嘘でしょ…。



「アリスさん。スマルトがアンバーの妹ですよ」

「えぇ!?」

「あら、言わなかった?」

「初耳だよ!」


スマルトがアンバーさんの妹!?
確かに雰囲気は似てなくもないような…。



「じゃあ、アッシュがアガットさんの弟ってことは知ってた?」

「何となくね。少し似ていたから、兄弟じゃないかとは思っていたわよ」

「そうだったんだ…」

「アリス。ハルク様のところに行くんじゃなかったの?」

「あ、そうだった!行かないと。またお坊っちゃまに文句言われる。アガットさん。それじゃ、失礼します。スマルト、またね!」


二人に挨拶して、私は本邸に向かった。
案の定、お坊っちゃまに「遅い」って怒られてしまった…。



「お坊っちゃま。アガットさんの弟がここで働いているって知ってました?」

「知ってる。アッシュとエボニーだろ?確か、双子の弟だぞ」

「双子!?」

「知らなかったのか?結構有名だぞ」


知らなかった…。
私、どれだけ鈍いの。



「アンバーさんの妹のことも?」

「アンバーの妹は誰かわかんねェけど、妹がここで働いているのは知ってる」

「……」


やっぱり私、疎すぎる。もう少し周りをちゃんと見ないといけないわ。


















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