小ネタ集7

❰制御出来ない感情は❱アリスとライの会話文。


運動会翌日の夕方。
ライが少し早く家に帰って来た。

部屋に向かっていると、テラスでアリスとハルクの姿を見つける。しかし、いつものような二人ではなく、変な雰囲気だった。喧嘩したわけじゃないはずだが、顔を赤くして、互いに目を合わせないのだ。

すると、アリスが立ち上がり、こちらに向かって来る。ライは体を隠し、彼女が来るのを待つ。ハルクからアリスの姿が見えなくなったところで、彼女の腕を引っ張り、引き寄せる。



「アーリス」

「げ、ライ様…」

「何でそんなハルク相手にぎこちねーの?アリス。もしかして、ヤった?」

「小学生相手にいかがわしいことをするわけないでしょ!こっちが捕まるわよ!」


ついタメ口で怒ってしまうアリス。丁寧語を忘れてしまうほどに興奮しているのだろう。



「そっちじゃねーし。てか、仮にアリスがハルクを襲ったって、あいつは嫌がらねーよ?喜ぶんじゃね?」

「もう惑わされない。あなたの意見に従った私が間違っていた。もう何でついやってしまったのか考えたわ。きっとあの時、私はおかしくなっていたのよ!ライマジックによって」

「何か俺が魔法かけたみてーに言ってっけど、実際にしたのはアリスじゃん。責任転嫁すんなよー」

「うっ…」

「でもさ、アリス」

「…なんですか?」

「ハルクが今後頑張ったから、毎回ご褒美あげてっとマジでそのうち「アリスをちょうだい」って言ってくるんじゃねー?」

「まさか。ライ様じゃあるまいし。お坊っちゃまに限って、そんな…」

「ないって、言い切れんのー?」

「ありませんよ!お坊っちゃまとライ様は違うんですから。私、飲み物を取りに行くはずだったことを忘れてた!まずい。早く行って、お坊っちゃまのところに戻らないと。ライ様、失礼します!」


アリスの姿を見送り、ライは壁にもたれる。



「マジで鈍いわ、あいつ。ハルクも意識はしてんだぜー。俺がアリスを襲った時だって、わかってたから怒って、お前らはケンカしたんだろ?もう忘れたのかよー。うちの兄弟、皆、手が早ぇし。子供だからって侮ってると、マジで襲われるぜー?アリス…」








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